今回は、TBSNEWSのデザインフォーマット制作のお話をさせて頂こうと思います。
TBSグループにとって報道機関としての役割は言うまでもなく大変重要なもので、視聴者との接点も多くブランドイメージに大きな影響を与えます。
報道というと、夕方や夜の「ニュース番組」が思い浮かぶかと思いますが、TBSではそういったニュース番組以外にも、SNSやキュレーションサイト・CS放送など様々な媒体を通じ「TBSNEWS」として絶えずニュースを発信しております。
また、TBSNEWSのデザインフォーマットはそれぞれのニュース番組のデザインの骨格でもあります。
そんな「TBSの報道機関としての顔であるTBSNEWS」のデザインは、もちろんブランドイメージと互いに密接な関係があります。
TBSNEWSのデザインフォーマット制作に際して特に重視したことは以下の2つです。
1つ目は、TBSらしくあること。
増え続ける報道メディアの中で、TBSのニュースであることをしっかりと訴求するため、
ロゴやカラー、アニメーションは新しいTBSデザインのフォーマットに準拠しております。
また、TBSNEWSのロゴに関してはニュース番組での使用以外にも、SNSやスマホアプリアイコンになることを前提に、形状は問わず使えるものを目指しました。
2つ目は、「誰が見ても」「どこで(いつ)見ても」見やすいニュースにすることです。
TBSNEWSはテレビ放送だけではなく、スマホ視聴や電車内映像など様々な環境で色んな方々へニュースを届けていく必要があります。
スマホで見ても潰れないフォントや、識別しやすい色使いなどはもちろん、視線追跡を用いた実験なども経て、読みやすいテロップデザインを追求しました。
TBSNEWSのテロップなどには(テレビ放送でもSNSでも)、小さな表示でも潰れず読みやすい、ユニバーサルデザインに適したTBS ゴシック TPを使用しております。
また、このフォントはTBSのコーポレートフォントでもあり、ニュース以外でもあらゆる場面(パンフレットやプレゼン資料・会社情報サイト・名刺など)で使用しており、TBSNEWSとブランドイメージがマッチするという目的もあります。
色合いはTBSブルーを中心としたカラーの中で運用され、テロップの過度な装飾は避けております。例えば、複数の色の境界は必ず明度差を保つよう心がけたり、簡単な色覚チェッカーを使ってテストする場合もあります。
また、災害情報など特に重要な情報は、色だけでの識別ではなく柄も組み合わせることにより曖昧に伝わってしまうことを避け、「誰が見ても」「どこで(いつ)見ても」正確に伝わるデザインを心がけております。
ニュースにはグラフや表、地図といった様々なグラフィックが多数用いられますが、これらのデザインには毎回デザイナーの腕が試され、デザイナーによって違うものになってしまうことが多いところです。
誰が担当しても変わらないデザインにするため、シャドウの設定とレイヤー分けという明確なルールを設けました。
webやUIデザインに精通している人ならピンとくるかも知れませんが、これはマテリアルデザインの考え方を参考にしております。どのような情報でも、同じシステムでレイヤー分けすることで、明確なルールとなりブレないデザインとして運用されております。
テレビ放送のニュース番組には大抵、オープニング曲があり、それがニュース番組の始まりを知らせるものとなっております。
しかし、配信動画やSNSのタイムライン上での使用を考えると「曲」では長すぎてとても運用できず、「チャイム」のようなサウンドを使用することにしました。
早速音楽制作チームに持ちかけ、グラフィックやモーションデザインとの相性、記憶に残る音階であることなどを考慮し、たくさんの試作の中から今のチャイムを採用致しました。
「ピンポンパンポーン」
みなさまも聞き覚えがあるのではないでしょうか。
TBSでは、TBSNEWS以外にも「Nスタ」「news23」といった様々なニュース番組を朝から夜まで放送しております。
これらの番組はそれぞれ主役となるキャスターがいて、時間帯ごとに番組の内容はもちろん、スタジオセットやイメージカラーも異なります。
しかし、それぞれの番組の中にもTBSNEWSの「TBSらしく、ユニバーサルデザインを追求したフォーマット」が組み込まれております。テロップのフォーマットからグラフや地図の表現まで、ちょっとずつカスタマイズしながら至る所でTBSNEWSのブランド・ノウハウが生かされているのです。
「いつ、どこで見ても見やすいニュースといえばTBS」そう思って頂けるよう、これからもデザインを追求していきたいと思います。
(TBS デザインセンター 團野慎太郎)