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COLUMN

#05
TBSロゴアニメーション制作で考えたこと

TBSロゴアニメーションを制作した目的

新しいTBSロゴのデザインには、TBSブランドのいくつかの意志が込められております。そんなデザインに込められた意志を、さらに直感的に訴求するためTBSロゴアニメーションを制作いたしました。

また、もともとTBSの番宣スポットや映画・Blu-rayのタイトル、TBSNEWSといった各サービスはそれぞれ別のアニメーションが使われておりましたが、TBSブランド共通のものを使おうという目的もあります。

ベースとなった23.4度軸の回転アニメーション

TBSの新しいロゴは、TからSへ伸びる線とその角度にブランドとしての意志を込めております。基本的にはこれをモーションで表現する、という視点で制作いたしました。

近年のモーションデザインでは加減速の強い滑らかな2Dによる表現が多い中、新しいTBSロゴアニメーションには奥行きのある回転だったり、光の反射の表現を取り入れておりますが、実をいうと私自身、今述べたような滑らかな2Dモーションが大好きで、まずはそこから手をつけました。

2Dのモーションでは、滑らかで違和感のないそれらしいものはすぐに出来たのですが、改めてブランドプロミスと向き合い、ロゴに込めた23.4度(地球の傾き)を捉え直した結果、もっと大きなスケール感を感じるものであるべきだろうと判断しました。

「回転」という動きは、ブランドプロミスのキーワードである「時」を連想させる狙いがあります。もともと「回転」→「循環」→「時」という意味の繋がりもありますが、 TBSが23.4度の傾きを軸に「自転」している動きは、時計の針の回転(2次元)に対して、地球の自転(3次元)がより大きなスケールでの時を生み出している、ということにもマッチしてきます。

こうして、この回転の動きをベースに、右上に走る線の太さや、一瞬だけ光るタイミング、ロゴが決まってからの余韻といった様々な要素を、全体で1つの動きのリズムにのせて作っていきました。

「時」というキーワードから「回転」の着想を得た

「勢い」と「重み」のコントラストで表現するスケール感

TBSのロゴアニメーションは、サービス名(「NEWS」など)が入る動きまで含めて1連のフォーマットとして制作しておりますが、この後半の動きには「重み」を感じるようにしています。

具体的に言うと、前半(TBSの動き)ではロゴが出現する勢いを出すため動きの加速が早く、動きの半分以上はその余韻となっております。
後半(サービス名の動き)では対照的に、TBSのずっしりとした存在感を出しつつサービス名を注目させるため、動きの加速は遅くして焦らすようなリズムとなっております。
結果として、「ピュン!→ニュイーン」のようなコントラストの強いリズムとなり、スケールの大きな世界での物理現象のように感じられるよう目指しております。

サービス名がついた場合のモーションの例
上記のモーションを10フレームごとに切り出したもの

3段階の速さのバリエーション

番組内コーナータイトルやロゴモーションをはじめ、モーショングラフィックスの仕事は今までいくつも担当してきましたが、今回のTBSロゴアニメーション制作においては普段よりも考えるべきことが数多くありました。

例えば番宣CMでは、他のCMも流れている中3秒にも満たない時間で瞬時に視聴者にTBSブランドを主張する必要があるため、ダイナミックでキャッチーな動きが求められます。
逆に映画のタイトルなどでは、真っ暗で静かな映画館で、これから映画を観る観客の集中力を高めるため、じっくりと緊張感を揺さぶっていく必要があります。

ロゴに込めた意志を表現するとともに、これらを含め様々なサービスにおいて使用できるために、最終的に3つのスピードのバリエーションを用意しました。
実際に、映画のタイトルでは一番遅いスピードのものを採用しております。

また、番宣CMではTBSロゴアニメーションの前に、同じ角度で閉じていくワイプの動きがありますし、TBSNEWSでは右上に走る線は省いております。この辺りも様々な局面で使えるよう汎用性を持たせられるようにしております。

3種類のスピード
実際には他の動きと組み合わせることが多い

TBSロゴアニメーションの運用が始まってみて

今回このコラムでアニメーションの制作話を述べさせて頂きましたが、今までモーションデザインに関してこんなに言葉で説明する機会はほとんどありませんでした。わかりずらい説明となってしまっていないか心配でなりません…なかなか言葉で表現するのが難しく、感覚的な評価になりがちである所もモーションデザインの特徴かもしれません。

私自身、動画配信サービスや他社のCMなどで様々なロゴアニメーションを見て「この2Dモーションが好きだ」とか「いや、動きはなくカットインが一番」などと1人心の中であれこれ考え楽しんでおりますが、いざふとテレビなどでTBSのロゴアニメーションを見ると、それこそ言葉に出来ない特別な感情になります。

改めて、今回このような仕事に携われたことを本当に嬉しく思います。(TBS デザインセンター 團野慎太郎)

COLUMN ARCHIVE



#01
新ロゴができるまで

#02
TBSブルーができるまで

#03
タイププロジェクトさんとオリジナルフォント開発

#04
写真家・濱田英明さんにお願いしました

#05
TBSロゴアニメーション制作で考えたこと

#06
新しい展開がぞくぞくと!

#07
リブランディングメンバーをご紹介します!

#08
TBSの志を包むものを考える

#09
新人文系デザイナー日記

#10
時をしるすもの

#11
社内リノベーション

#12
SDGsウィークがはじまります!

#13
TBSNEWSとブランドデザインの密接な関係

#14
TBSグループは音のブランディングを始めました