このブランドプロミスは、TBSグループ全体の“志”であり、お客様との約束です。
どこかの有名なコピーライターが考えたものでも、TBSの役員たちが決めたものでもなく、ひとりひとりの社員がアンケートに参加し、その思いを社員の代表であるブランディング委員会でまとめた言葉です。委員会に集まったメンバーは、数々の番組を手掛けるプロデューサーから編成、宣伝、広報、総務、デザインに至るまで…部署も役職も様々で、忙しい通常業務の合間をぬってプロミス作成に取り組みました。
社員アンケートから上がった言葉は主に
というものでした。そこから「変化・未来・世界・つくる・最高・挑戦・時間」という核となるキーワードに想いを込め、このブランドプロミスが作成されたのです。
私たちの志、このブランドプロミスをかたちにしたものがブランドロゴです。
このような大きなプロジェクトは広告代理店さんへ依頼したりするのが常かもしれませんが、インハウスでデザインすることが、同じ社員に志を託すことだと委員会は考えてくださったのでしょう。ブランドロゴの作成を依頼されたのは、TBS社員である私たちデザインセンターのチームでした。普段は番組を中心に活躍しているデザイナーたちでしたが、その思いを受け作成に向かいました。
実は、ブランドプロミスとブランドロゴの作成は同時進行でした。本来ならプロミスができて、それを受けてかたちにするという流れなのでしょう。しかしデザイナーがブランディング委員会に属し、常にブランドプロミス作成の進捗をキャッチアップすることで、短期間でブランドロゴ作成を同時に進めていくことができたのです。それもインハウスでならではの強みかもしれません。
TBSのロゴが他の企業のロゴと異なるのが、モニター等画面での使用がベースになる事です。ドラマ・報道・バラエティなどコンテンツのジャンルもさまざま、更にデバイスの多様化も著しく『どの場面でもなじむシンプルさ』と『モニターで最大化されるデザイン』が必要とされました。
そのことを考え、ブランドプロミスからFutura“未来”という意味をもつ書体をベースに選び、将来を見通すスコープを表すサークル(正円)と、起点・基盤を表す直線で構成するシンプルかつ完璧なシルエットをもつかたちを目指しました。
また、TからSへつながる66.6度のラインは、放送を軸にしながらも新しい領域そして未来へ伸びていく意志を、23.4度は地球の地軸(の傾き)の角度であり、世界を意識しコンテンツ・サービスをつくるという意志をそれぞれ込めています。
Tに斜めのラインを入れることで、TとBの間には明日へのトビラが見える形にもなっています。
普遍性のあるシンプルな形の中にも、ブランドプロミスの思いをロゴへ込め、個性を持たせたデザインになったと思っています。
ブランドロゴのデザインにあたり、このかたちになるまでには何度も何度も議論や試作を重ねました。
他社との比較・トレンドのリサーチはもちろん、カラー4象限に当てはめてみたり、時にはTBSを擬人化してロゴの性格を考えたり、その回数や試作数は何百もの数になりました。デザイナーの中には1年目の社員もいましたし、斬新なアイデアを出してくれる人もいました。テレビならではの経験から、“動く”ことや“立体”から考える人も。
テレビのデザインはどうしても“分かりやすさ”や“個性”“オリジナリティ”例えば具体的なかたちなどを求められたりします。社内からもブランドロゴに対してそのような意見が届きました。でも、何より若手のデザイナーたちがブレずに「普遍性」のあるシンプルなデザインにこだわり続けてくれたことが、このかたちを導き出せた要因だと思っています。
これからも若い力にTBSデザインを託して期待していきたいです。
(TBS デザインセンター 船山和歌子)