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COLUMN

#11
社内リノベーション

放送センター エントランスリノベーション

竣工後25年を経過し老朽化してきた社屋を、全社員アンケートの意見を集約し、プロジェクトチームでリニューアルすることになりました。2017年7月にプロジェクトメンバー(各部局・グループ会社から合計12名)が集まり、当プロジェクトがスタートしました。それ以前から、TBSの顔としての玄関リニューアルの話は非公式に上がっており、デザインセンター内でチームを作りプランは何案も検討しておりました。

初期アイデア出し 検討案ラフ

しかし、TBSで働く全ての方がほぼ毎日利用する場所ですし、全社員アンケートの実施・ご協力など、全社的なプロジェクトとして動き、皆様のご意見がなければ間違いなく実現できませんでしたので、この場をお借りしてプロジェクトメンバーの皆様、ご意見頂きましたTBSで働く全ての皆様に改めて感謝申し上げます。

リニューアルにあたり、目指すVISIONとして「20年後も価値を持ち続けるTBSらしい愛される玄関」ということで合意・共有し進めていきました。デザイナーとしてそれを、「20年後も古さを感じさせない普遍的な空間・存在であること」と読み解き、それを第一に考えました。機能面の設計にあたっては、一般のお客様とビジネスのお客様が混在する状況で、それが本来必要なオフィス機能としては利便性を欠く状況になってしまっており、その解決が最も大きな課題でした。議論の末、一般のお客様ははいれない、という運用方針に決まりましたが、その点においては非常に心苦しく感じる部分が今もあります。そのデメリットを超えるビジネスユースのメリットを生み出すよう、そのあたりの機能性を取りまとめることに苦労しました。

リノベーション前の正面玄関

空間計画としては、構造的に窓面積が少なく閉鎖的な印象が否めませんので、少しでも明るく広がりや開放感が感じられるよう、壁面・床面の素材選定、高さを低めに抑えた家具選定、などにこだわって計画しました。その上で全体的なトーンをスッキリと極限までシンプルにまとめました。空間は時代に左右されず安定して20年後も普遍的に価値を持ち、しかしながら、そこで「働く人」「コンテンツ」は時代にマッチして柔軟に変化し輝き続ける、人やコンテンツがいつも主役に感じられる、そういう意図で空間自体は可能な限り引き算の考え方を貫きました。

リノベーション後

新しいTBSロゴ サインリニューアル

ロゴが変わることにより、長く局舎建物のセンターにあった旧ロゴ看板も更新することになりました。日中の局舎には青空が映り込み、ブランドカラーとして定められた青い新ロゴに対し、ロゴのベースとなる局舎も青色になってしまう状況で、果たして視認性が確保できるのか、かなり悩みました。視認性のことだけを考えると白にする案もありましたが、やはりこの度ブランド統一にあたってはなんとしても青で実現すべき、というブランド委員会の皆様の強い意思がありましたので、実験を繰り返し、検証を重ねました。

日中 / 夜で視認性確認・色味テスト(リアルで見る時 / カメラで撮影する時)

さらにこのサインは放送でもよく映ることがありますため、リアルに見る場合とカメラを通した場合の両方で検証が必要でしたので、実際放送で使用する機材を手配頂き、シミュレーションを重ねました。
(お忙しい中ご協力頂きました皆様、本当にありがとうございました!)

放送センター局舎サイン / 周辺サイン看板

報道フロア リノベーション

報道フロアのリノベーションに伴い、毎⽇放送に出る「報道カメラ」(スタッフの間では「報カメ」と呼ばれています)のセットも新しくすることになりました。

通常時はWEBやSNSのデータ、各局のオンエアがモニターに

この報道カメラのセットというのは、通常の番組のようにスタジオに建てるものではなく、⽇々報道局の⼈々が働くエリア内に存在しているという点が⼤きな特徴です。つまり報道カメラでニュースを読むキャスターの背景は全てセットであると考えられ、しかしそれはそもそもオフィスインテリアです。視聴者の⽅々にとっては画⾯に映る背景全体がセット、働く⽅々にとってはインテリア、それら両⽅の機能を整理し魅⼒的になる⽅法を探りました。

リノベーション前の報道フロア

元々フロア内には天井から数多くのモニターが吊るされており、各局全ての放送がリアルタイムで同時に⾒ることができます。今回のリニューアルではこれを⽣かし、報道カメラの放送時間以外は今まで同様各局のリアルタイムの放送を並べて映しているのですが、報道カメラの放送時は、ワンタッチでそれらのモニター(合計 16 台)全てを連動させた CG アニメーションが映し出せるシステムを構築しました。
また、キャスターと働く⽅のスペースとを⼤きなアクリル板で仕切っております。これは働いている⼈の声やその他の雑⾳が放送に影響しないよう遮る必要があるためです。働いている現在の状況が⾒えることでリアリティを感じてもらいながらも⾳は遮断する、そのためのアクリル板なのですが、それをそのままカメラに映しても透明なので存在が視認できません。いや、別にできなくても良いのですが、せっかくならこのアクリル板を⽣かしてよりよい効果が出せないか、頭を悩ませました。思いついたのは、先ほどのモニターに出る CG アニメーションと連動してアクリル板の⾊も変えるようなことができないか?という案でした。
思いついたもののどうすれば実現できるか、⾮常に困りました。⾊を変えるということは電飾や照明を使うことになるのですが、せっかくの透明なアクリルに電飾のケーブルが⾒えてしまっては美しくありません。最終的にたどり着いたのが、透明なアクリルに傷(ドット)をつけて、その傷に対して間接的に LED 照明をあてることでその傷が発光しているかのように⾒える、という仕組みでした。そしてそれらの⾊が際⽴つよう、ワークスペースの壁⾯は全てブラックガラスで仕上げました。

速報「BREAKING NEWS」の時は背景色が「赤」に

これらにより放送時にパッと⾒て「 TBS NEWS」 と感じてもらえるような画⾯の⾊構成、速報時にはその緊急性を画⾯全体で感じてもらえるような画づくりができるようになったかと思います。モニターの CG アニメーションやアクリルの電飾を更新すれば新たな表現も可能になりますので、その辺りの柔軟性も今後活かしていきたいと考えております。
(TBS デザインセンター 太田卓志)

COLUMN ARCHIVE



#01
新ロゴができるまで

#02
TBSブルーができるまで

#03
タイププロジェクトさんとオリジナルフォント開発

#04
写真家・濱田英明さんにお願いしました

#05
TBSロゴアニメーション制作で考えたこと

#06
新しい展開がぞくぞくと!

#07
リブランディングメンバーをご紹介します!

#08
TBSの志を包むものを考える

#09
新人文系デザイナー日記

#10
時をしるすもの

#11
社内リノベーション

#12
SDGsウィークがはじまります!

#13
TBSNEWSとブランドデザインの密接な関係

#14
TBSグループは音のブランディングを始めました