TBS GXの発電所ストーリー

TBS GXの発電所ストーリー

story

100年先も、この町で農業が続いていくために。
~若手就農者とともにドラマを紡ぐ、一号発電所の物語~

(株)アグロエコロジーの若手就農者たち
[(左から)小杉武司さん、小林了司さん、山本真生さん。(株)アグロエコロジーの若手就農者たち]

1. 未来を耕す、若き担い手たち

黄金色の稲穂に、まだ夏の熱を残した日差しが降り注ぐ9月半ば。栃木県内の田んぼでは、3人の20代の若者たちが収穫作業に取り掛かっていました。彼らは「株式会社アグロエコロジー」の若手社員です。北関東を中心に有機農業を展開する アグロエコロジーは、TBS GXとタッグを組んでソーラーパネルの下での営農を担っています。

(株)アグロエコロジーの若手就農者たち

異なるバックグラウンドを持つ3人ですが、自らの意志で農業という仕事を選びとった点が共通しています。

農業歴9年になる小林了司こばやし さとしさん(28)は、かつて農薬散布で体調を崩した経験があります。「朝4時に起きて農薬を散布するのですが、午前が終わる頃には体がだるくなってしまって・・・このまま続けていくのは難しいと感じました。」そのとき思い浮かんだのが、高校時代から関心を持っていた有機農業でした。農薬を使わないことには人一倍強い思いを抱いています。

東京都出身の山本真生やまもと まさきさん(23)は、大学で経済学を学びながら「生産者」という仕事に魅力を感じていました。「目立つ存在ではないかもしれませんが、人の役に立っている実感を持てる仕事だと思います」 一から農業に向き合いながら、念願だった有機農業とコメづくりに挑んでいます。

農家に育った小杉武司こすぎ たけしさん(21)。子供の頃から野菜作りを手伝い、自然と農業を志してきました。そんな小杉さんには、叶えたい夢があります。「アメリカのような、大型機械を使ったスマートな農業をやってみたいんです。この会社なら、有機栽培と大規模農業の両方が実現できると思います」

農薬・化学肥料・除草剤を使わないアグロエコロジーの田んぼには、さまざまな希少な生きものが息づいています。その風景に惹かれるように、ここには有機農業を志す若い世代が集まり始めています。

(株)アグロエコロジーの若手就農者たち

2. 守りたいのは「命をつなぐもの」

こうした若手就農者の挑戦の舞台となるのが、TBS GXの営農型太陽光発電プロジェクトです。

発電所第一号の建設予定地は、栃木県北部の塩谷町にあります。町のシンボルである高原山中腹から湧き出る清流は全国名水百選にも数えられ、下流域の田んぼを潤し、人々の暮らしに寄り添ってきました。

栃木県塩谷町のTBSGXの第一号発電所建設予定地
[栃木県塩谷町のTBSGXの第一号発電所建設予定地]

塩谷町は2023年、国の「オーガニックビレッジ宣言」を行い、有機農業を町ぐるみで推進する意思を表明しました。その背景には、深刻な担い手不足や高齢化への強い危機感がありました。

4期にわたり町政を担ってきた見形和久みかた かずひさ町長は、その決意をこう語ります。「農業とは、自分たちの命をつなぐもの。安全で安心なものを作る環境と集落を維持することが大事です。宣言をすることによって、少しでも町の価値を高めたいと考えたのです」

町の未来を語る塩谷町・見形和久町長
[町の未来を語る塩谷町・見形和久町長]

TBS GXの一号発電所建設予定地は、町長自身が所有する農地です。そこもまた、次世代への継承という課題に直面していました。「この町では農業を継ぎたいという若い人が、残念ながらほとんど見当たらない状況です。私の子どもたちも東京に出ており、農地を継ぐ人はいません」。

中山間地域の塩谷町は、平地と比べ収穫量の面でも不利な条件にあります。こうした中、見形町長は、営農型発電は農業経営を支える新たな選択肢だと捉えています。「創意工夫が必要となりますね。農業を残し、地域が生き残っていくために、新しいやり方を考えていかなければならないと思っています」

3. 「慣行農法の3倍」の労力と、収益の壁

町が未来を見据え、若者たちが志を持って取り組む有機農業ですが、その道のりは平坦ではありません。

有機は、慣行農法の3倍の労力がかかる」。そう語るのは、若手就農者の中でも農業経験の長い小林さんです。特に厳しいのは夏場の除草作業です。除草剤を使わないため、雑草は刈り取っても1週間でまた伸びてきます。短期間で取り除かなければ、稲の生育に大きな影響が出てしまいます。

「農薬を使っている隣の農地を見ると、正直、『楽そうだな』と思うこともありますね」と、小杉さんは苦笑い交じりに明かします。

(株)アグロエコロジーの若手就農者たち

また、ソーラーパネルの下での作業となると、独特の難しさが加わります。トラクターやコンバインを支柱にぶつけないよう、操作には高度な技術と集中力が必要となるのです。

ソーラーパネルの下で慎重にコンバインを操作する小林さん
[ソーラーパネルの下で慎重にコンバインを操作する小林さん]

4. 経済的な土台が「夢」を「続けられる仕事」に

さらに、切実な壁として立ちはだかるのは、農業の「収益性」です。

今の農業は、まだ『儲かる仕事』とは言えません」。そう語る小林さんは、将来を見据えてこう続けます。「機械化を進めて作業をもっと効率化し、一人でたくさんの圃場を見られるようにする必要があります。儲かる農業にしていかないといけない。」

(株)アグロエコロジーの若手就農者たち

経済的な安定、それは農業を次世代に繋いでいくための重要なファクターです。営農型太陽光発電という仕組みは、この課題に対する一つの答えとなります。農地の上で発電を行うことで生まれる「売電収入」が、農業経営に安定をもたらします。

経営に余力ができれば、ドローンやロボット除草といった新技術やスマート農業への投資も可能になります。収益性をさらに向上させる好循環を生み出すことができるようになります。

「お金の面でうまくいけば、農業は本当に楽しい仕事なんです。」 小杉さんの言葉に、山本さんも頷きます。「農業にはやりがいと魅力がある。そこはみんな同じ気持ちです」。

農業を「好きだから続ける仕事」から、「生涯続けられる事業」へ。その変化は、ソーラーパネルの下で形になり始めています。

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5. この町で農業が続いていくために

塩谷町の見形町長は、こうした変化を静かに見つめています。 「県外からの人や若い人が来て、町が変わってきたなと。農業への取り組み方も従来とは異なる感覚を感じます」

将来、この発電所がどのような存在になってほしいかを尋ねると、町長はこう答えました。 「この取り組みが、いつか町の中に自然に根付いているといいですね。農業をずっと続けていける環境を地域全体で作っていく。そういう町でありたいと願っています。」

(株)アグロエコロジーの若手就農者たち

新しい人が入り、新しいやり方が試され、少しずつ風景は変わっていきます。

100年先も、農業がこの町とともにあり続けるために。TBS GXの発電所は、その風景の中で若手就農者たちに伴走し、彼らの挑戦を力強く支える存在となることを目指しています。

(※年齢などの情報は2025~2026年取材当時のものです )

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