株主IR情報

当社のメディア戦略について

当社のメディア戦略について

2011年9月



 2011年7月に地上アナログテレビ放送は終了し、被災東北3県を除き、完全デジタル化が完了しました。デジタル放送への移行後、アナログ放送に使われていた電波の空き領域では、2012年4月から新たな移動体向け放送が始まります。また2011年6月に施行された新しい放送法では、放送用の電波を使って通信業務を行うことも可能となっています。

 このように放送業界の環境ががらりと変わる中、当社の総合的なメディア戦略について、改めてご説明をさせていただきます。

 当社が社内組織として「開発局」を作り、多メディア時代を見据えた取り組みを強化したのは1995年です。その後1998年から3年間に亘って「メディアパレード」を開催し、新しい時代のメディアや最新技術を目に見える形で内外に示し、大きな注目を浴びました。それ以来当社は、放送を中心にすえた新しいメディア展開に積極的に取り組んでまいりました。

 BS放送は順調に視聴可能世帯も増え、メディアとしてその重要性がますます増大しています。2011年7月には、BS-TBSをTBS HDの連結子会社としました。TBSグループ内での一層の連携強化を図り、番組コンテンツの充実と安定した供給を確保するためです。よりきめ細かな視聴者の興味に対応することが求められるCS放送については、エンターティンメントを中心とした「TBSチャンネル」と、ニュース報道中心の「TBSニュースバード」という2つのチャンネルを展開しています。2つのチャンネルはCS放送だけにとどまらず、全国に普及するケーブルテレビ放送において、他の専門チャンネルとは異なる圧倒的な存在感を示しております。

 ブロードバンド向けには、2005年にオンデマンド配信事業「TBS BooboBOX」を開始し、その後は事業をさらに強化、名称も「TBSオンデマンド」と変えて、国内外の選りすぐりのコンテンツ約2700本を常時、配信しております。さらに現在地上波で放送中のドラマの見逃し配信を実施するほか、2010年秋からは業界初となる地上波放送ドラマの「先行配信」も行っています。こうした様々な取組みにより、2009年度に民放キー局では初めて、オンデマンド事業の黒字化に成功し、現在に至るも業界をリードし続けております。

インターネットやワンセグデータ放送を活用したデジタルメディアにも事業として力を入れています。特にテレビ番組と連動した携帯電話向けのコンテンツ配信は大きなビジネスに育ちつつあります。2010年度からはスマートフォンやタブレットへの対応にも力を入れています。また放送とインターネットなどを連動させた物販、テレビ番組などを活用したライセンス事業もすでに当社を支える大きな事業の一つとなっています。

 映画製作では、2009年の米アカデミー賞外国語映画賞「おくりびと」のほか、数々の大ヒットで、業界の牽引役を果たしているのは皆様ご存知のとおりであります。ドラマやバラエティ、音楽番組のDVDの売り上げにおきましても、当社の作品はランキングの上位を占めております。

 海外への番組や番組フォーマット販売では先駆者として他局を圧倒する成績を上げており、これも弊社の事業の大きな柱となりつつあります。特にアジア地域においては、弊社の番組並びにそのブランド価値はまさしく最強のものとなっております。TBSが毎年開催するアジア最高規模の映像コンテスト「デジコン6」には、アジア10 地域から毎年数千点の作品が寄せられます。受賞者の中からは、アジアの映画や放送の世界で活躍するようになった人材も多数輩出しています。海外展開は、今後も重点分野として、注力していく予定です。

 こうした多メディア展開は、政府の委員会などでも、たびたび検討されている「コンテンツ流通」や「マルチユース」などのコンセプトを先取りして実現してきたものです。TBSでは以前から、こうしたアイデアを敷衍・実行し、放送外事業の業績向上に生かしてまいりました。

 アナログ放送終了後の電波の空き地で行われるV-high帯、V-low帯マルチメディア放送に関しても、戦略的に準備・検討を行っています。V-high帯マルチメディア放送の主体となる株式会社mmbiには出資すると共に、枢要部署に社員を出向させております。また、クラシック音楽放送「OTTAVA(オッターヴァ)」は、こうした新サービスを想定し取り組んでおりますが、既に各方面で大変な好評を頂いております。これらの移動体向け放送は将来、有力なメディアとなる可能性もあり、そのビジネスチャンスを逃さぬよう、細心かつ大胆に準備・検討を進めてまいります。

 私たちは「放送」を中心に、多様なメディアに対し選択的にコンテンツを展開・流通させ、利益を最大化させることを常に考えています。これまでも真摯に努力を積み重ねてまいりましたが、通信・放送が新しい時代を迎えても、こうしたスタンスを揺るがせることなく、さまざまな事業に取り組んでいく所存です。どうか今後とも変わらぬご支援をお願い申し上げます。