番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2018年12月17日(月)開催 / 第622回番組審議会より
今年のTBSの番組全般及び放送界の動向について

議題

(1)審議事項
 1)今年のTBSの番組全般及び放送界の動向について
    特定の番組を対象とせず、TBSの番組やテレビ界の現状に関して幅広く審議を行った。
 2)その他
(2)事務局報告事項
 1)視聴者からの声について
 2)次回審議会の議題・日程及び2019年度の日程について

出席者(敬称略)

委員長音好宏 
副委員長中江有里 
委員石田衣良 萱野稔人 喜田村洋一 佐藤智恵 田渕久美子 藤原帰一 水無田気流 
尾縣貢(レポート提出) 

局側出席者

 TBSテレビ

 佐々木社長

 國分常務取締役

 伊佐野取締役

 合田編成局長

 本田報道局長

 田代スポーツ局長

 志賀情報制作局長

 海本制作局長

 藤田編成考査局長

 鈴木編成考査局視聴者サービス部長

 岩村番組審議会事務局長

委員の主な意見(「今年印象に残ったTBSの番組」について)

◇「義母と娘のブルース」
恋愛不毛の時代に、この擬似家族ものを選んだ企画の勝利だと思う。トレンディドラマから30年、この作品が日本の恋愛ものの最先端になるほど日本の文化は変わったのだと思うと感慨深い。

◇「日曜劇場 下町ロケット」
人気シリーズ最新作で、期待度も高かったが、俳優以外の出演者を次々と出すことで話題にはなったものの、はたして中身が伴ったのか疑問。飛び道具を使いすぎたのではないか。出演者の演技合戦が暑苦しく感じられた。

◇「西日本豪雨報道」
TBSのみならず、全局で東京に中央がある弊害を感じた。被害が週末に集中していたせいもあり、報道が後手に回ってしまったのが残念だ。

◇「報道特集」(3月31日放送分)
沖縄の火炎瓶事件を取り上げ、ひめゆりの塔で皇太子夫妻に火炎瓶を投げた人物に取材していたが、彼の主張を流すのみだった。反省の言葉を引き出せとは言わないが、なぜ犯行に及んだのかを知りたかった。

◇「オールスター後夜祭」
「オールスター感謝祭」の後で、何の予備知識もなく見始めて、最後まで面白く見た。長く親しまれている「感謝祭」あっての「後夜祭」ではあるが、こうした派生番組のアイデアは新しい視聴者をつかむと思う。

◇「水曜日のダウンタウン」
拉致事件と間違われて通報されるといったトラブルもあったが、あまり企画を無難にまとめずに続けてほしい。

◇「アジア大会 ジャカルタ」
陸上で女子選手の「17歳」という年齢を強調したり、池江選手を「スーパー女子高生」と強調したりする必要があるだろうか。とりわけ女性は、年齢や出産その他のプライベートなことを強調されすぎる傾向があり、気になっている(ママさん選手云々)。

◇「マスターズ・トーナメント」
世界のトッププロの技能を伝えるのみならず、適切なアングルの画像によりオーガスタの美しさを伝えてくれた。ゴルフの面白さ、難しさ、そしてトッププロの技能レベルの高さを感じることができた。

委員の主な意見(今後のTBSや放送界全般に望むことや指摘したいこと)

◇今年のTBSもバランスがよかった。過度にタレントに頼らず、過激なテーマで視聴者をあおらない。ニュースの基本的スタンスも穏やかなリベラリズムで、今後もこのバランスを維持して欲しい。

◇「ジョブチューン」の「スゴ腕ハンター」が自然保護の観点から多くの批判を受けたのは、目先の面白さに目がくらんだ結果、誰も疑問を持つことなく放送に至ったのだろう。ネットの台頭によって、テレビは見ていない人にも検証されるようになった。より一層の配慮と緊張感をもとめたい。

◇期待するのは報道への取り組み。事実関係を確認し、何がほんとうで何がほんどうでないかをきちんと明らかにする報道は、嘘か本当かわからない情報が飛び交う時代だけに重要な役割を果たすと考える。

◇バラエティ番組に斬新さがほしい。TBSといえば、今もアメリカで長寿番組として君臨する『America’s Funniest Home Videos』や『American Ninja Warrior』の番組フォーマットを生み出した放送局だ。日本だけではなく、世界を席巻するようなバラエティ番組を開発してほしい。

◇今、優秀な若者がIT業界へとどんどん流出していると聞く。「先輩のもとで何年も厳しいアシスタント経験を積んでから、一本立ちさせる」という伝統的な育成方法は変えていくべきだ。やる気と才能がある人は、年齢にかかわらずどんどん登用し、早めに挑戦の場を与えてほしい。

◇プラスチックによる海洋汚染の問題を扱った「海を殺すな プラスチック汚染」キャンペーンや「なくせ!危険運転」キャンペーンを企画、推進したことは、高く評価できる。特に東名高速道路で起こったあおり運転による人身事故を丹念に調べ、早くから報じたことは、その後、世間から注目される「あおり運転」への問題喚起になった。

◇一方、朝から夕方まで生放送が続くなかで「あおり運転」問題に象徴されるように、社会情報系番組でショッキングな映像がたびたび流され、一部に情緒的で行きすぎたスタジオコメントも散見された。制作現場の冷静な姿勢が求められる。

TBSでは番組審議会委員のご意見を真摯に受け止め、今後の番組内容の向上に活かしていく所存です。
(TBSテレビ番組審議会事務局)