このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。
2018年10月15日(月)開催 / 第620回番組審議会より
「義母と娘のブルース」 9月11、18日放送分について
(1)審議事項
1)「義母と娘のブルース」 9月11、18日放送分について
2)その他
(2)報告事項
1)番組種別公表制度に基づく4月から9月までの放送実績について
(3)事務局報告事項
1)視聴者からの声について
2)次回審議会の日程及び議題について
委員長 | 音好宏 |
副委員長 | 中江有里 |
委員 | 石田衣良 尾縣貢 萱野稔人 喜田村洋一 田渕久美子 藤原帰一 水無田気流 佐藤智恵 (レポート提出) |
TBSテレビ
佐々木社長
國分常務取締役
伊佐野取締役
合田編成局長
本田報道局長
海本制作局長
鈴木制作局ドラマ制作部長
中井プロデューサー
藤田編成考査局長
鈴木編成考査局視聴者サービス部長
岩村番組審議会事務局長
◇健康的でほのぼのとはしているが、欲望とか恋愛観みたいなもの、モヤモヤしたり、うっとうしくなるようなものが全部きれいに抜けているという点がドラマのつくり方としてはうまかったという気がする。
◇今は教育や家事代行など、様々なことが家族の中でアウトソーシングできる時代だが、では、家で行っている活動全てをアウトソーシングした時にそれでも残る家族とは何なのか。それは本当に血縁関係がなければ成り立たないものなのか。そういう時代状況から投げかけられる問いと交錯するテーマだ。
◇現代の母親の悩みは、とにかく子どもとの関係で、解決策、具体策が欲しいという切実な声をよく聞く。しかしもちろん明確な答えは無い。その中で、少なくとも一生懸命に格闘している姿を出すのは、大きな解決策のひとつで、評論や解説では出せないものをドラマでひとつ出してくれたと思う。
◇全部せりふで説明し、画面を見なければわからないものがなく、少し前にせりふで出たこともちゃんと念を押す点と、都合がいい展開がたくさん入っているという二点が疑問に思われた。
◇ひとつひとつは小さな「奇跡」かもしれないが、終盤になると、奇跡のてんこ盛りのように感じた。
◇脚本のつくりが少々粗っぽく、ドラマとしてのおきて破りが多過ぎる。ドラマは、視聴者が喜び、視聴率が取れるのが正義だが、とにかくレベルの高いものを目指すことは絶対で、その上でリアリティーも目指し、そこまでやった上でそこから物事を引いていって、デフォルメしたものにする、この気概が制作者には絶対に必要だと思う。
◇主人公が娘の進学を機にキャリアウーマンに戻ることを決断する場面に共感した。子育てとの両立が難しく、仕事を辞めてしまう女性が多い中「もう一度本格的に働きたい」と思っている彼女たちに希望を与えた点で、社会的にも意義のある作品だと思う。
◇このドラマの魅力は、人間の関係性が「近づきすぎない」ところにある。血のつながりによって距離が近くなり過ぎ、甘えや依存が生じ、ぎくしゃくするような場合に、あえてビジネスライクに謝れたらすごく楽だと思うところもある。このドラマが支持されたのは、もっと率直に物を言いたいのに言えない、こじれた関係性の中で苦しんでいる人が多いからではないか。
◇主人公は実際にはいないような人で全然リアリティーがなく展開も乱暴だ。そこが逆にある種ファンタジックであり、なおかつ結構重い家族関係の本質の話であるはずなのに、それを嫌味なく描くことにつながったと思う。
TBSでは番組審議会委員のご意見を真摯に受け止め、今後の番組内容の向上に活かしていく所存です。
(TBSテレビ番組審議会事務局)