番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2008年3月17日(月)開催 / 第506回番組審議会より
2007年度を振り返って「TBSらしさとは何か」「TBSはどんな放送局をめざすべきか」について

議題

(1)審議事項
 1.2007年度を振り返って「TBSらしさとは何か」「TBSはどんな放送局をめざすべきか」について
 2.その他
(2)報告事項
 1. BPO要望書のその後の取り扱いについて
 2. 2008年度上期の編成方針
(3)事務局報告事項
 1.2008年度より委嘱の新委員について
 2.次回審議会の日程及び議題について

出席者(敬称略)

委員長月尾嘉男 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音 好宏 篠塚英子 寺島実郎 ねじめ正一 山藤章二 横澤 彪 

局側出席者

 井上社長

 財津専務

 城所専務

 石原取締役

 石川編成制作本部長

 衣笠取締役人事労政局長

 成子編成考査局長

 田代TBSテレビ制作局長

 金平TBSテレビ報道局長

 吉崎TBSテレビ編成局長

 谷内番組審議会事務局長

委員の主な発言

◇テレビは弱者のメデイア、弱者に届くメデイアだと思う。そのことからすると、安心して見ることができるものが片方にあって、もう片方で実験的なものがある、そういうとんがっている部分と安心する部分が以前のTBSには随分あったような気がするが、最近は小さくまとまりすぎているのではないか。

◇「岸辺のアルバム」とか「ふぞろいの林檎たち」とか、かつてのTBSのドラマは学者の論文や卒論などに活用されるぐらいの存在だった。これは今何が起きているかを根っこからドラマ化していく、それも面白くというだけでなく非常に丁寧に扱ってきたからだと思う。今後ドラマとドキュメンタリーを合わせた新しい作品が必要になってくるのではないか。その点で「東京大空襲語られなかった33枚の真実」は素晴らしかった。

◇TBSはかつて視聴率と視聴質の違いが議論されたとき、家族や世代間のコミュニケーションを促進するような番組を目指していた。これがTBSの伝統的な番組作りだと思う。家族や地域社会の絆が薄れてきている中で、世代間や家族が共有できる番組あるいはドラマを追求してほしい。時代の要請もそこにある様な気がしてならない。

◇今まで培ってきたものが強いのがTBSらしさなのかという気がする。そうなると視聴者の高齢化も進むので、時間帯を考えて若いTBSフアンを作る必要があると思う。また制作者が意欲と誇りをもって番組制作にあたられる環境作りをすることが大事ではないか。

◇TBSは「民放のNHK」といわれた時期があったが、これは8割のほめ言葉と2割のからかいを含んだものだと思う。プラス評価のほうでは、「東京大空襲」で、こんな時宣にかなった有意義な番組は絶対他局では作れないものだ。マイナス評価は、バラエテイーでどこかにブレーキがかかって重いということだろうが、そこがいいところなんだと胸を張っていいと思う。質的向上の努力は図りつつも、基本的には堂々と自信をもって今まで通りでよろしいと申し上げたい。

◇安心してみられる番組が大変多いステーションであるということがTBSの特徴だと思う。それが物足りなさにもつながるし、長寿番組が多いのでいろんな意味で金属疲労も起こるし、老化現象も起きてくる。そういう意味でややもすると若い人がそっぽを向く危険性を非常にはらんでいると思う。若い人は新聞やNHKは自分と関係ないメデイアだと思っているが、TBSもまごまごするとそっちに行かされる危険がある。このままでは駄目で改革する必要がある、老舗は改革がきちんと行われているから老舗なのだ、その辺をよく考えてもらいたい。

◇成熟している人間が見ていて、ああそうか、そうだよなというものがよい。すこし居直っていただいて、好きなものをつくればいいんだくらいのつもりでやっていただけると、逆にいいものがでてくるのかなと思っている。開き直っちゃったほうがいいのではないかという気持ちが正直なところだ。

◇これからのテレビ環境はデジタル・多チャンネル・ユビキタスだが、それは落ち着いてテレビを見ない環境を意味している。だからそういう環境でも、見なければなるまいと思うようなモチベーションの強いコンテンツ作りが問われてくるだろう。勢いとダイナミズムのある、時代をよく洞察したドラマが重要になってくるのではないか。また「世界・ふしぎ発見!」のような、知的な刺激を与えるバラエテイとの谷間にあるような番組はTBSの輪郭をはっきりさせるのにいい番組だと思う。

◇世の中にとにかく見る番組がないという意見が非常に多いことを理解する必要がある。局が文化的側面での役割を本当に果たしているのか、環境問題などセンセーショナリズムになりがちだ。将来に向けては、2013年くらいに広告費でネットに抜かれる可能性があり、これに対しどうするかを考えてほしい。TBSとしては長寿番組が経営的資産だが、それがいいのか、長く同じスタイルを続けるのが、今のようなメデイアの急速な転換の時期にいいのか、検討してもらいたい。



(以上文中:敬称略)




*TBSでは番組審議会委員のご意見を真摯に受け止め、今後の番組内容の向上に活かしていく所存です。


東京放送番組審議会事務局