番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2007年6月18日(月)開催 / 第498回番組審議会より
「報道特集」 6月3日(日)午後5時30分〜午後6時24分放送分

議題

報告事項
 1.「朝ズバッ!」不二家問題報道問題、BPO放送倫理検証
委員会審理入り
 2.楽天問題 企業価値評価特別委員会に諮問
審議事項
 「報道特集」 6月3日(日)午後5時30分〜午後6時24分放送分

出席者(敬称略)

委員長月尾嘉男 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音好宏 篠塚英子 寺島実郎 ねじめ正一 山藤章二 横澤彪 

局側出席者

 井上社長

 財津専務

 城所専務

 水野常務

 石原編成制作本部長・報道本部長

 石川編成制作副本部長

 金平報道副本部長

 成子編成考査局長

 福本TBSテレビ報道局報道番組部プロデューサー

 山中番組審議会事務局長

番組内容について

◇「報道特集」は2006年の5月27日から2007年の6月3日まで、7回にわたっていわゆる消えた年金、宙に浮いた年金問題の実態を他メディアに先駆けて追及してきました。
初回は昭和39年からずっと年金保険料を納めていたのに「昭和60年以前は払っていない。記録の訂正には当時の領収書が必要」と言われた一人の男性の実例からスタート。番組への情報提供を呼びかけながら取材を進めると、社会保険庁の驚くほど杜撰な保険料管理の実態が明らかになってきました。
一口に記録が消えたと言ってもケースは様々でしたが、原因を探るとマイクロフィルム化された手書きの記録をコンピューターに入力する際の記載漏れや10年前に一人の基礎年金番号をひとつに統合した際の統合漏れなどが多発していることが判明しました。
また、記録が消えていることを訴えた人のほとんどは「証拠がない」と取り上げてもらえませんでした。社会保険庁に不服申し立てを行って訂正が認められたのは2003年から4件しかなく、私たちが取材した116人のうち領収書や当時の給与明細をみつけることが出来た人は5人だけでした。
こうした、年金保険料管理の杜撰さや被害者が救済されない構図の理不尽さをシリーズ年金不信で繰り返し報道するうち世論も次第に盛り上がり、参院選を控えて支持率が急落したのを受け、腰の重かった政府与党は急遽この問題にとりくむ姿勢をアピール。与野党最大の争点に浮上しました。
報道特集は与野党の攻防を伝えると共に、打ち出された救済策が本当に実効性のあるものなのかを検証。更に今後もキャンペーン報道を続けてこの問題の行く末を伝え続けてゆくつもりです。

報道特集プロデューサー福本芳朗

◇報道特集らしくきっちりと出来ているが、今エキセントリックに年金問題が取り上げられている中で、もう少し別な視点があってもいいのではないか。ストレートな攻め方がありながら、もう一方で違う攻め方がありますよ、というのが得意分野だと思うが、今回に関してはその部分が若干弱かったと思う。

◇北朝鮮問題などを取り上げたとき、勧善懲悪的なアプローチの仕方の時があって、食い足りないときがある。ただトータルとしてはこの番組は好きだし、年金問題をシリーズでやっているのも意味がある。

◇「パチンコ台」の廃棄処分を追ったものは、環境問題に関する的確な教材となりうるものだった。年金問題に関しては情報がどんどん新しくなってとてもよい。これだけ国民の関心を集めている問題なのだから、ある時点で活字にすることを考えて欲しい。そうすれば問題がよりはっきりしてくるのではないか。

◇「報道のTBS」の伝統を守り続けていることには敬意を表するが、せっかく報道中心で作っているのだから、もう一歩踏み込んでもいいのではないか。年金問題はシリーズで根気よく扱って、色々な問題提起をしていることは素晴らしい。

 今後は年金そのものに問題があることは事実だが、年金統合の中で色々の問題が発生してきた。社会福祉番号のようなものが議論されながら、前へ進まなかったことについて、社会システムの簡素化という観点から何か提言をしていただくことが考えられないか。

◇年金問題は、ナレーションも聞きやすく問題はないと思ったが、インタビューの映像がクローズアップのし過ぎと感じられた。田丸さんの視線が変わるのは、落ち着かない感じがした。

◇デイーゼルの長所を各メーカーの開発状況とか実験調査、環境対策に準じているなど、たくさん挙げられて、いいことずくめなのでこれは買わざるを得ないなという気にさせられた。やっぱりTVの魔術だなと思った。

 パチンコは常に400万台が稼動していて、新しい機種の入れ替えが絶対条件なので、大量の古い台が排出される、このことを追いかけて迫力ある映像だった。香港、中国と追いかけて、体に悪いことを承知で貧しい人たちが作業をしている実態を見せられて、おいしいところは富める国が味わい、残飯は貧しい国が引き受けるという資本主義のサイクルがこの国でも、今も行われていることを痛感した。このまま日本が行政指導など何もしないでいると、反日感情を盛り上げるなど大きな問題に発展するのではないか。

◇TBSの屋台骨を背負っているような立派な番組だと思う。昔から比べて、女性を意識したり、やわらかく柔軟さを意識したりして、見やすくなっている気がする。あとJNN全体で作るということをどの程度意識しているか、知りたい点だ。田丸キャスターの足元がショットの変わる度にうごいていることで、足元が落ち着かない。モザイクや声を変えたりする映像が増えてしまって、信憑性に影響があるので、この番組だけでもう頑張ってもらいたい。

◇パチンコ台がいつもどこに行くのか気になっていたが、中国のひとつの町がある意味でごみ箱のようになっている姿をみて非常にかわいそうだなという思いがした。日本でのパチンコ台の廃棄の仕方、違法と知りながらやっている人がいるかどうか、などもう少しパチンコ台にこだわってもらいたかった。

 田丸さんは落ち着き払っているが、この前の映像はかなり強いのだから何かコメントすることはないのかと感じた。

◇田丸さんは冷静で知的で話題の本質が分かっている感じがする。キャスターの中では秀逸だ。

 この番組は連続してテーマを追う点にひとつの特色がある。もうひとつはコメンテーターが出ず、田丸さん一人で支えている、取材と映像で作っている。TBS報道局の能力と知見が全部出てくるので、他局に比べてどれだけ深く、鋭い分析力と構想力をもったスタッフを抱えているか、人材の育成が最後のかぎになるのではないか。不二家がなぜつぶれたのか、なぜあんな悲劇になったかという検証報道、その中でTBSが果たした役割も含めて検証報道が出来たら、番組として相当の迫力をもってくるだろう。

◇時間的な広がりと空間的な広がりがあまりなく、表面的なものを追いかけたとうい印象が強い。パチンコ台にしても他局が前に作ったものをこえていないし、海外の番組に比較して時間的な長さを持った追いかけ方などでもう少し頑張ってもらいたい。年金問題でも、年金統合の経緯の紹介がないし社会保険庁がなぜ出来たかの解説もない。そこがわかれば原因のかなりが分かるのに説明がない。

 田丸さんは一人でやっている限界が出ている。番組で放送したことをただ要領よくまとめているだけで、さらに深さを出したコメントも見ている範囲ではなかった。一人であの内容を仕切っていくのは難しいのではないか、かつてのスタイルを再検討してはどうか。




(文中:敬称略)

*厳しいご意見を含め大変熱心に審議を頂きました。TBSではこうしたご意見を参考にさせていただき、今後、よりよい番組を編成、制作していくうえで活かしてまいりたいと思います。


東京放送番組審議会事務局