番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2007年4月16日(月)開催 / 第496回番組審議会より
テレビドラマ「夫婦道」第一回 4月12日(木)午後9時〜午後9時54分放送分

議題

報告事項
 1.「朝ズバッ!」の不二家報道について
 2.放送法改正案についての民放連会長コメント
 3.「人間!これでいいのだ」問題の再発防止策
審議事項
 テレビドラマ「夫婦道」第一回 4月12日(木)午後9時〜午後9時54分放送分

出席者(敬称略)

委員長月尾嘉男 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音好宏 篠塚英子 ねじめ正一 山藤章二 横澤彪 ( 欠席 寺島委員) 

局側出席者

 井上社長

 財津専務

 城所専務

 水野常務

 石原編成制作本部長・報道本部長

 石川編成制作副本部長

 金平報道副本部長

 成子編成考査局長

 田代TBSテレビ制作局長

 柳井満プロデューサー

 山中番組審議会事務局長

番組内容について

◇最近のテレビドラマはどんどん日常や「ただごと」から遊離している様に思えるが、かって「ドラマのTBS」を支えた多くの作品は「ただごとドラマ」であり、「ただごとドラマ」の王道が「ホームドラマ」でなないだろうか。今回、狭山茶の生産農家とお茶屋を営む一組の夫婦を中心に家族が織りなす小さな世界を舞台にして、この「ただごとドラマ=ホームドラマ」を制作する。主演の夫婦を演じるのは武田鉄矢と高畑淳子。三人の娘たちを、山崎静代たくませいこ、本仮屋ユイカ、末っ子を鈴木悠人が演じるほか、橋爪功が不思議な隣人として第一回から登場する。

◇見ていて安心なホームドラマ、ホームドラマらしいホームドラマという印象を受けた。小さいころ見ていた「肝っ玉母さん」とか「ありがとう」、その流れ、感じを思い出しながら見させてもらった。

◇最近全般に刺激の強い、過剰なものが多い中で、大変すがすがしいという感じがした。

◇ほのぼのとした楽しいドラマで、非常に気楽に、面白く見た。

◇テレビは時代を映すものというのも1つのテレビ論としては正論だろうが、こんな時代だからこそテレビのもう1つの力で、束の間心いやされたいというのも、庶民の1つの要望でもあると思う。

◇特に、せりふが非常に気がきいていて、笑えた。気のきいたせりふがポンポン、ポンポン出てきて、なかなかすばらしいかけ合いという意味で、いわゆるコメディとして成立している要素が、僕は非常に楽しかった。

◇かつてはこういう家庭が普通だった。今はどこかへ行っちゃったものを、もう一回、実は現実のものとしてあるんだよという形で定義してきた設定が、先祖がえりということだと思うが、非常に卓抜した企画性になっていくのではないかなというふうに思った。

◇若干気になったのは、タイトルだった。「夫婦道」と言うと、これがスタンダードですというふうに言われているような気がした。まさに家族とか夫婦のあり方というのは、今すごく多様になっているところで、あえて「道」とつけ、一番最後のところに垂れ幕がビロンと出てくるのは、どういう考え方でつくられたのかなというのが、ちょっと気になった。

◇冒頭から見合い30回の話。非常に面白いが、今の若い人たちは見合いはしないだろうなということとか、若い人たちから見たら、「夫婦道」というタイトルでは、入っていかないんじゃないかなと思った。やっぱり多様化していって、家族のあり方に対するイメージがみんな違うので、とっても難しい時代になったなというのが、第一印象だった。

◇「夫婦道」の「道」、これは私にとっては面白い、興味深いタイトルだった。特にこれは子供の側から立って親子で見るということでなくて、親の側に立って子供も一緒に見ようや、あるいは息子、孫あたりと一緒に見ようや、そういう呼びかけができる作品ではないかと思うので、逆にそういった形で家庭における1つの大きなきずなをつくっていくツールにもなるのではないか。

◇「夫婦道」というタイトルを聞いたときに、もう笑っちゃった。そんなものはあるわけはないじゃないかと。今の世の中、だんなが奥さんの憐憫の情にぶら下がりながら何とか生きている毎日。現実は物すごく厳しい。亭主、家族というものが自分の中でもよくわからなくなってきている中で、「夫婦道」という非常に思い切ったタイトルをつけたなという気がした。

◇武田鉄矢さんの幾つかのせりふ、特に長ぜりふのところは、どうしても金八先生をイメージしてしまうところがあって、おおっと思ったけれども、武田鉄矢自身がそれをどんどん乗り越えて、変えようとしているというのも何となく伝わってきたりして、非常に面白かった。

◇静ちゃんの存在感がこんなにあるものかなというのを改めて感じた。

◇長女役の静ちゃんのキャラが、極めて存在感があって、不気味で大成功。あとは、一番下の坊やがナレーションをやっているというところも、なかなか新しい感じがした。

◇先日、静岡でお茶のコンテストの審査に行ってきたが、最近若い人が家でお茶を入れて飲まない。みんなペットボトルのお茶を飲んでいるという話を聞いて、ええーっと、私なんかはびっくりした。最後、仲直りをしながらお茶を飲むシーンがあったが、ああいうのを若い人たちが見れば、お茶の楽しみ方みたいなものがわかるし、いいなと思った。

◇お茶のシーンというのはすばらしい。今、「早寝・早起き・朝ごはん」と言っていうが、朝御飯ではなくて、ああいうお茶の時間で家族がひとときをともにする、あれがすばらしい雰囲気というか、人間の本来的な家庭というものの原点があるような気がして、大変すばらしいものを見せてもらったと思った。




(文中:敬称略)

◇(プロデューサーからの説明)

夫婦道というのは、夫婦それぞれにあるわけで、こうでなくてはいかぬというような、そんな立派なことを言える番組ではないと思っています。この2人が一番いい夫婦道を目指して、今、頑張っておりますよというつもりで、「夫婦道」とタイトルをつけました。団塊の世代に見ていただきたいというのはもちろん僕らはあります。それと、ホームドラマというのは、教訓なんて要らないんです。みんな一緒にごはんを食べている。一緒に朝、お茶を飲みます。しょっちゅうけんかばかりしています。でも、それ自体が今、結構教訓的なんだと僕は思っております。

ですから、家族が仲よくしなきゃいかぬとか、そんなことは別に言う必要はなくて、けんかしてでもいいから、とにかく1日1回、家じゅうの者がどこかで集まるというのがすごく大事だと思いました。朝、お茶を飲むとか、夫婦で仲直りをするお茶。そういう意味では、そこで立派なことを言わなくても、結構いいシーンなのかなというふうに実は考えてつくっております。

*厳しいご意見を含め大変熱心に審議を頂きました。TBSではこうしたご意見を参考にさせていただき、今後、よりよい番組を編成、制作していくうえで活かしてまいりたいと思います。


東京放送番組審議会事務局