番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2006年9月19日(火)開催 / 第489回番組審議会より
「ブロードキャスター」9月2日(土)22時から23時24分放送分

議題

報告事項
 「イブニング・ファイブ」でのニュース内容に関係のない顔写真パネルの映像が映り込んだ問題について。財津専務から経過報告と総務省からの厳重注意の趣旨、再発防止のためにとった措置について報告があった。
 10月編成について石川編成局長から、上期の経過報告と、10月の改編を中心とした編成について報告があった。
審議事項
 「ブロードキャスター」9月2日(土)22時から23時24分放送分
 CS放送(「TBSニュースバード」、「TBSチャンネル」)の視聴アンケートの結果

出席者(敬称略)

委員長月尾嘉男 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音 好宏 金澤正輝 篠塚英子 寺島実郎 ねじめ正一 山藤章二 横澤 彪 

局側出席者

 井上社長(TBSテレビ社長)

 水野常務

 財津専務

 城所取締役(TBSテレビ専務)

 石原編成制作本部長・報道本部長(TBSテレビ常務)

 石川編成制作副本部長(TBSテレビ取締役編成局長)

 金平報道副本部長(TBSテレビ報道局長)

 成子編成考査局長

 田代TBSテレビ制作局長

 高徳TBSテレビ制作局制作四部プロデューサー

 山中番審事務局長

番組内容について

◇番組は1991年開始から15年になる。キャスターは福留功男氏と久保純子さん(2年前から)、山瀬まみさん(ワイドショー講座)、土井アナ(スポーツとスタジオプレゼンコーナー)、竹内由布子(番組の取材リポーターとニュース)がレギュラー出演。ゲストは、各界の著名な文化人で、ユニークな考えを持っている方々に番組のファミリーになって頂き、その中から男女1名ずつお迎えする。コメンテーターは、榊原英資氏(経済)、北川正恭氏(政治)、岡本行夫氏(外交)、末吉竹二郎氏(環境)、などの専門家から交替で1名出演。

◇レギュラーコーナーとして、一週間の出来事が一目でわかる「7デイズ」、「お父さんのためのワイドショー講座」、「ブロードキャスター事件簿」、一番話題のスポーツを独自にキル「どスポ」。ブロードキャスターを見て頂ければ、"一週間の事がすべてわかる"をコンセプトに構成。とくに、番組冒頭の、その週の最大関心事をユニークな切り口で伝える企画と、番組のオリジナル情報で今の世の中を見つめる企画が二本の柱。土曜22時の生放送なので最新情報にこだわり、場合によっては現場からの生中継をおこなう。ただ土曜22時は、ある調査によると「一週間で一番癒されたいと感じる時間帯」だそうで、家族一緒に楽しく見られる雰囲気を大事にして制作している。

◇9月2日の放送では、ゲストに二宮清純氏と吉永みち子さん、コメンテーターに末吉竹二郎氏を迎えた。冒頭の企画では最近急増している子供が親を殺す事件をとりあげ、次の企画は昆虫を虫の目になって撮り続けているカメラマン栗林慧氏に長期密着したドキュメントを放送した。「ワイドショー講座」では、ランキング以外では、千葉の野田市で突如出現したど根性メロン騒動や14歳のエリートモデル柳沢実佑さんを取り上げ、「どスポ」は早実の斉藤投手の日米選抜戦を取り上げた。

◇竹内まりやのテーマ曲や最初のアニメが昔から好き。やっぱり新鮮な感覚がして、あのオープニングが番組の雰囲気をつくっていていいなと思う。

◇「7days」とか「お父さんのためのワイドショー講座」という長寿のコーナーが定番になっていて、安心感をもって見ることができる。

◇少年犯罪の方は、もう少し多彩な意見が欲しかった。自分の気持ちを伝えられない「ため込む派」がふえているということだが、確かにそういう子供たちがふえているので、あれをもう少し掘り下げれば、ものすごくよかったと思う。

◇この番組は、ほのぼのとした話題を多く取り上げていて、大変ほっとした。ど根性メロンが演歌につながったというのも何か不思議な感じもするし、ハンカチ王子の話がヨン様につながったのも意外でちょっと笑える。オリジナリティーのある話題が結構たくさんあってよかった。

◇(少年事件について)もう少し報道する側のこれに対する思い、あるいはメッセージというものがあってもいいという感じがする。本当に何ものにもかえがたい命というものに対して、こういう事件背景の中で、そういう根源的なものを追求してほしい。

◇このところ子供が親を殺す事件や子供の凶悪犯罪がふえているという言い方をしているが、それが本当かどうか。例えば、JNN系列の報道のデスクの人たちへのアンケートで、『少年事件があるとついついニュースで取り上げてしまう』と答えたデスクがかなり多いと伝えていた。

◇親子100人の調査は、どういう親で、どういう子供なのか。その後スタジオで子供たちが背中を向けて喋っている内容はどこまで信用できるものなのか。そう考えると、これを見た人たちはどうもイメージの空回りというか、イメージだけが拡大されていく危険性はないのかというのが気になった。

◇この番組というのはアットホームな、独特な雰囲気を持っていて、温かい雰囲気も土曜日の夜にピッタリする。特徴としては、ニュースを生で羅列するのではなくて、工夫の好きな職人が何かと手を加えてお客さんに提供している。そういった手づくり感というのをとても濃厚に感じる。そこが好ましいなと思う。

◇15年続いている長寿番組だが、いまだにそのパワーが衰えていないなと感じる。ただ当初は僕らのようなおじさんが週末に癒されたくて見たような感じもあったかと思うが、だんだん女性中心にシフトしているかなという気がして、そこはちょっと残念だなと思う。

◇ハンカチ王子のことも随分出ていたが、二宮清純さんがハンカチ王子のことを「土方歳三」と言ったときに、思わずのけぞってしまった。(笑)今までにないないタイプに対しては、僕ら、楽しみたい。そういう楽しみを「土方歳三」という言葉で奪われちゃう気がした。

◇新しいコメンテーターの末吉さんが新鮮。あの方が割と余裕を持ってコメントを喋っている。ああいう姿があの番組に非常に合っているという感じがした。

◇明るく軽やかな土曜日の夜のバラエティー化する報道番組としては大変結構だと基本的には思う。ただし、ゲスト及びコメンテーターのコメントの中身が同義語反復で付加価値がない。しかも、キャスターも含めて時代に向き合う知識、情報において不正確なところがあった。

◇「ブロードキャスター」という名前をつけている以上、ブロードキャスターとして、プロとしての存在感を見せてほしい。ぜひ半年間のテーマとか年間テーマとか、継続性を持って、一味違う個性化というのを図ってほしい。

◇栗林さんというのは大変有名な方なので、いろいろなテレビが今までさんざん番組をつくっている。今回のような紹介だと、なんだ知ってるよ、ということになりかねないので、さらなる工夫を、と思う。

◇放送の役割で1つ重要なことは、言語というものを守るということだと思う。もちろん新しい言語をつくるとか普及させるということも重要だが、守るということが重要。「どスポ」というタイトルその他、日本語とは思えないような言葉をどんどんタイトルとか中身に使うということは、放送として考えるべきだと思う。







東京放送番組審議会CS番組視聴レポート(2006.9.19)



【TBSニュースバード】

○タイトルが朝はブルーの空、夕方はオレンジの夕焼けの空に新しいロゴがすっきりとしてリニューアルした良さを感じた。静止画像が少なくなり、独自のニュースはふえて充実していると思う。



○キャスターの魅力を引き出すのに「わたしのひとりごと」は面白いアイディアだが少し時間が短いと思う。



○7月13月(木)21時の「ドキュメントナウ」は、今は注目されないヒルズ族の堀江被告に差し入れをする尾崎女史を捉えた地味なものだったが、ヒルズ族の今昔が見えたのと同時に尾崎女史の温かさが感じられた。



○8月14日8時「ニュースバード」を見ていると突然停電になり30分後に復旧したが、そのあとも通常のニュースを流していた。NHKでは現状が伝えられ、TBSは状況を字幕スーバーで流していた。TBS・JNNの地上波と連携して、いち速い報道をこころがけて欲しい。



○特に、「ニュースの視点」や、「CBSイブニングニュース」などは、大変見応えのある番組だと感じた。また、「ビジネスナビ」についても、経済に関する専門性の高い番組という印象を受け、興味深く見ることができた。



○「ドクター月尾・地球の方程式」は、もっと詳しく検証・調査が行われても良いのではないかと思った。例えば、このテーマについて深く伝える番組を設けたり、インターネットで情報を補完するなどの工夫も面白いのではないか。



○8月26日深夜、「ニュースバード」を見る。担当は宮本優香という女性。これといった華やかさや個性はないが、清潔、誠実そうで感じはいい。いつも感じることだが、「ニュースバード」はつくり過ぎないところがいい。



○ニュースバードは地上波と同じ価値基準になるべきではないと思う。顧客ニーズを前提に、より広い国際・時事視点、より深い解説・批評、より速い報道・常時ニュースを志してもよいのではないか。



○「国会トーク」は興味深く視聴したが政府広報にならないよう、ジャーナリズム姿勢を失わないよう期待する。



○番組表にない番組「プライム・ショッピング」等は、(イ)商品・サービスの安全性のチェック(ロ)ニュース専門局のイメージ醸成という視点から、注意深く運営して欲しい。



○プロ野球中継がふだんの番組からなくなって、CS放送に対する期待が大きくなっている。わざわざCS放送を選択して見ているにのだから、アナウンサーも解説者もふだんの放送よりもさらに詳しく、熱くやってほしい。



○日本人ジャーナリストの久保田氏によるイラク潜入レポートも、イラクの現実を的確に伝えようとする姿勢がみられ、興味深い内容になっていたが、時間の割には、現状報告のみで、掘り下げは弱いというという印象が残る。



○CS放送の場合、概してマニアックな関心を持った視聴者が多いと思われ、例えば専門家によるじっくり時間をかけた解説、専門家による徹底したディベート、年間テーマを決めた継続的な問題の探求など、固定層を確実にひきつけ続ける企画がいるのではないか。



○ネットとメディアの融合の局面では、データ・ベース化した映像情報の有料での閲覧などが重要になり、放映された番組ソフトのデータ・ベース化のための知財権戦利略を含めた戦略が求められる。



○女性キャスター陣も、総じて安定していて良い。特に、地上波も相乗りしている午前4時半〜5時半の中澤有美子、島ひとみがキャスターの早朝枠は、掛け合いも伸びやかで、安定感があって見ていても安心。



○地上波との連携はもっと上手くするべきだと思う。メリハリをつける意味でも、地上波のワイド・ニュースで放送される「特集」枠の内容をニュースバードでも再放送して欲しい。特に「ニュース23」の特集の再放送を期待したい。また地方局では、まだまだJNN系列局は、そのエリアでの取材力が他局に比べて抜きん出ているんところが多い。この系列のニュース、ミニ特集などを積極的に活用するべきではないか。



○長野県知事選の際、投票日の夜に、SBCの知事選特番を「ニュースバード」で放送したのは良かった。田中県政のどこが地元で問題にされていたのか、よくわかった。これは地元局ならではの番組だったと思う。このような視点での番組編成を行って欲しい。



○地上波で放送した報道系の特番やドキュメンタリーを、もっと上手く編成してはどうだろうか。





【TBSチャンネル】

○「TBSチャンネル」は、過去に人気を博したドラマを初回からまとめてオンエアしたり、時間帯によってターゲットを変える番組編成にするなど、その編成方法においては工夫を感じる点も存在した。



○サッカーやゴルフ中継などのスポーツ番組、ライブなどの音楽番組、韓流スターに密着したオリジナル番組などについては、ターゲットを絞った、地上波にない特徴的な番組編成であり、ファンにとっては有料放送の価値があるものだ。



○さまざまなジャンルを織り交ぜた、世帯志向の強い総花的な編成をしており、まだまだ地上波の延長線上にあるように思う。今後は、地上波・BSとの差別化が重要になってくるのではないだろうか。TBSグループとして、今以上に、地上波・BS・CS、それぞれの明確な位置づけと、それに合わせた番組編成が必要ではないかと考える。



○番組表を見ると懐かしさがこみあげてくる。そして豪華。テレビの黄金時代を彩った作品が次から次へと登場してくるのには驚いてしまう。在庫豊富といった感じのチャンネル。



○サッカー中継に力を入れるが、大変結構なことだと思う。強いていえば、中継アナウンサーの資質をさらに高めて欲しい。



○7月の幼児向けの「まんがはじめて物語り」はよかった。しかし「まんが日本昔話」はTBSが誇る財産であると思う。朝7〜9時台の時間帯で放映できないか。お昼寝から起きた時間帯の4時頃に設定も検討していただきたい。



○向田邦子終戦特別番組企画観た。1話完結90分ドラマを5回1週間連続してみられるのは、夏休みの最大の贅沢であった。今後もぜひ毎年、反戦ドラマとしてTBSチャネルで向田作品の8月放送を続けてほしい。



○10年先に現在作成のTBSドラマのうち、なにがTBSチャンネルで放映されるであろうか?私はドラマこそ自分が生きてきたその時代の社会現象を映しているので、時代性というか歴史の足跡をきちん描いたドラマをCSで再確認して見たいと思う。



○吉田兄弟全米ツアーライブを視聴した。CMなしで、津軽三味線を楽しめたが、(イ)ライブに入る前の10分間が面白くない。(ロ)ライブ以外の画面右上にずっと出ている「全国ツアー特電○○!)○○○!)○○○朝6時まで」とあるのは何か。広告か。有料放送とバランス取れるのか。TBSチャンネルも160万世帯と契約。立派なマスメディアである。私にはグラドル番組(6月19日委員宛案内状の中にあり)とは何かわからないが、仲間内メディアに陥らぬよう留意しながら、健闘して欲しい。



○寺内貫太郎一家をみた。リアルタイムでみていたのと違って、ドラマのリズムが新鮮だった。ドラマのストーリーが唐突ではなくて、動きが唐突。リズム感のよさに驚いた。今のドラマは意外性に乏しいです。その場限りのテレビの面白さに命をかけていたと思う。



○東芝日曜劇場の特集は、なかなかよかった。日本の民放史における一時代を作ったTBSのコンテンツ力の高さを感じられるチャンネルである。しかし、放送は今を生きる人にためになされるのものであり、その時代感覚が編成にとって重要だと思う。現状では、名作、話題作が並べられているだけで、あまり戦略的なものを感じない気がする。


番組審議会事務局