番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2006年4月17日(月)開催 / 第486回番組審議会より
ザ・プロ野球「横浜VS巨人」(4月14日、15日、16日放送分)

議題

委員長・副委員長選出
 審議に先立ち、生田正輝前委員長の退任にともなう、委員長・副委員長の選出を委員の互選によりおこないました。その結果、委員長に月尾委員(新任)、副委員長に沼田委員(再任)が選出され、新体制がスタートしました。
審議事項
 『ザ・プロ野球「横浜VS巨人」』(4月14日、15日、16日放送分)
 およびスポーツ中継番組全般について

出席者(敬称略)

(敬称略、委員長・副委員長選出後の新体制)
 
委員長月尾嘉男(新任) 
副委員長沼田早苗(再任) 
委員池田守男 音 好宏 金澤正輝 篠塚英子 寺島実郎 ねじめ正一 山藤章二 横澤 彪 

局側出席者

 井上社長(TBSテレビ社長)

 若林副社長(TBSテレビ副社長)

 財津専務

 城所取締役(TBSテレビ専務)

 石原編成制作本部長・報道本部長(TBSテレビ常務)

 石川編成制作副本部長(TBSテレビ取締役編成局長)

 金平報道副本部長(TBSテレビ報道局長)

 成子編成考査局長

 石川TBSテレビスポーツ局長

 安藤TBSテレビスポーツ局中継制作一部長

 清水TBSテレビスポーツ局中継制作一部プロデューサー

 山中番審事務局長

(1)ザ・プロ野球「横浜VS巨人」について

◇解説者の衣笠さんが、TBSと雰囲気が非常に合っている。横浜のガツガツしていない、大らかなイメージにもあっている。

◇選手紹介で、海の底のイメージで選手の1人1人をCGを使っているが、青空の下という感じの方が、暖かいイメージでいいのかなという感じがする。

◇ゲストの石橋貴明さんは野球に出てくるときは抑えぎみで、クールにやっていていいと思う。それから、PUFFYが横浜の感じにすごく合っていた。

◇時々ボールがどこに行ったかわからなくなる。リプレイでやっとわかった。それから、小久保の打ったボールも、ラバーがへこむんだったら、へこむところを映せよ、そのぐらい徹底的にやればいいのにと思いながら見ていた。

◇自分は阪神ファンだが、やっぱりプロ野球の大半のファンを握っているジャイアンツが勝たないことには、プロスポーツ全体が盛り上がらない。巨人が走ってタイガースが追っかけるという、あの昭和40年代のV9の時代が、実はプロ野球は一番面白かった。それの再現を期待している。

◇テレビのスポーツ中継のアナウンサーは、しゃべり過ぎの傾向をふだんから感じる。ベテランアナウンサーになればなるほど饒舌に過ぎるのではないか。これは見ている側にとって、ゲームの緊張感を邪魔する方向にも働く。主役はあくまで選手であり、次の一投一打に注目をしているわけで、そこに余りノイズを入れてほしくない。

◇テレビという空間は出演者に間を恐れさせてしまう。この余白強迫症の傾向は、ビジュアルの方にもあって、いろいろ細かな情報、細かな文字やら過去のことやらを入れているが、ビジュアル・ノイズといった感じで、古い人間にはない方がいい。

◇ワールド・ベースボール・クラッシック(WBC)を、現地のESPNで見たが、バスケットボールの中継が伸びて、30分もずれ込んでスタートした。アメリカではWBCも出身国別対抗戦みたいに位置づけられているという、極めて冷えた感触を確認した。

◇日本のプロ野球のスーパースターがメジャーリーグへ行ってしまっている。また日本の子供たちの野球に対する関心は急速に冷め、リトルリーグに参加するチーム数は急速に減っている。野球中継が20%の視聴率を獲得するような時代は多分もう来ないんじゃないか。

◇例えば横浜のファンが、横浜だけを放映しているスポーツチャンネルで、横浜の試合を見続けるというように多元化の方向に向かい、キーステーションが野球中継を続けるという時代はやがて終わるのかもしれない。

◇例えば小久保のファウルかどうかの判定もそうだが、WBCでも審判の判定について問題意識が高まっている。一体どうなんだというあたりをもっとはっきりとえぐり出す、そういう緊張感があってもいい。

◇地上波では中継がすぐ切れて不愉快なので、3試合ともBS−iで見たが、試合がものすごく長い。忙しい人はとても見られないと思う。ひょっとしたら野球中継はテレビに向きではなくなってきたのかもしれないなと思った。

◇解説の川口さんがすばらしくクールで的確な解説をしていた。衣笠さんはハートフルで、非常にのほほんとして、すごくよかった。

◇小久保の打球は見た目ではファウルとしか思えなかった。もうひとつ進化してビデオを導入するとか、むしろメディア側が提案してもいいんじゃないか。

◇セ・リーグは、パ・リーグよりおくれてきたな、という気がしてならなかった。DH制なんかは、どんどん導入してやった方がいいと思う。

◇新しいスポーツ番組あるいは野球中継に意欲を持って取り組んでいるというのは画面から感じた。映像的にも非常に新しい取り組みをしている。今後、野球のみならず、スポーツ番組全般について期待している。

◇ファウルの審判の判断について全員退場か、とういう場面なのに、淡々とした解説しかないので違和感を若干覚えた。これからのスポーツ、特に野球の審判の問題は、積極的に触れていくことが必要という印象を持った。

◇野球は本当に長い。私も時々見に行くが途中で帰ることが多い。テレビを見ても、途中で切れて最初から最後まで見られない。ラジオを聞いた方がいいのかなと感じることが多い。キー局で今のように放送できるのはそんなに長くないような気がする。むしろBSに特化するのも1つの方法かなと思う。

◇こんなにコマーシャルの時間が必要なのか。野球は確かに交代の時間が短いなどやむを得ないと思うが、次の中継に入ったときにもうワンアウトにというのはいかがなものか。今後いろいろ検討が必要という印象を持った。

◇私は巨人ファンだったが、ラジオで野球を聞く習慣がついている。今回テレビで見て、ヘエーッというくらい面白かった。きれいで、スピードがあって、感激した。種田選手のすばらしいファインプレーがあったが、私には新鮮な場面だった。また、投手の投球フォームの去年と今年を並べて、違いを見せたが、すごくいいアイデアだった。

◇なんで石橋貴明さんがここに出てきているのという感じ。私はむしろ淡々と野球そのものを面白く見せてもらった方がいいと思った。

◇プロ野球の映像は、相当完成されたつくりになっているのを改めて感じた。ただ、だれがテレビの前に座って見ているのか、と若干疑問にも思った。

◇石橋貴明さんは、やや違和感を感じた。逆にPUFFYが好きなので、ああ、PUFFYだ、PUFFYだと思ったりした。野球周りの出演者に対しても、個人の好みが分散化、多様化してきていると思う。

◇陸上やマラソンはずっと見てしまうが、野球中継との違いは何なのかということを感じさせられた。もうちょっとヒューマン・インタレストのようなものが挿話として入ってきてもいいと思った。

◇ボリュームを大きくすると、組織的な応援団のギャースカ、ピースカが入って、耐えられなくて音量を下げてしまう。

◇雑誌のインタビューで、イチローは「野球の人気ということを考えるならば、選手たちがどういう立ち居振る舞いをするかということが大事だと思う。子供たちに対しては、勝つだけじゃなくて、格好いいなと思ってもらえなければ駄目なんですよ」ということを述べている。一方で、自分がポカをやって戻ってきたときに、選手がベンチでうつむいて大きな舌を出している。こういうシーンは、やっぱり見ていて格好よくない。

◇佐伯選手が、打つ前にカメラを見ていた。きっと打つ方もカメラの位置がわかっていて、じっとカメラを見ていたような気がした。打つ前の心境みたいなものが感じられた。

◇情報が盛りだくさんだし、いろんなエピソードも入っていて、映像もきれいだった。飽きることなく楽しく拝見した。

◇本当にゴールデンアワーに2時間、今後とも地上波がやるかどうか。既にBSデジタルとかCS放送、それから地上デジタルに完全移行したら、場合によっては2チャンネル出せるというときにどうするのか。

◇解説者が選手の経験とか監督の経験を背景に言うことは、それなりに興味深いが、極端に言うと、自分でもこの程度の解説はできるなというときもある。場合によったら選手や監督経験がなくても、例えば阪神戦なら熱烈な阪神ファンに解説してもらうことも可能だと思う。

(2)スポーツ中継番組全般について

◇スポーツ番組のショービジネス化ということについて、問題提起しておきたい。私自身、昔、ボクシングをやっていたこともあって、ボクシングは大好きだけれども、ここのところへ来て、亀田三兄弟の取り上げ方。格闘技もそうだが、あまりに極端な商業主義化。例えば、試合が終わった後に歌を歌わせたりという展開までやっている。これは抑制しないと、スポーツというものの持つ意味がだんだん変わってくる。

◇「朝ズバッ!」でパラリンピックの試合結果を注力してやりたいと言っていた。大変いいことだと思う。彼らは皆、大変な努力をしており、見ている方にもエネルギーを与えることが多い。ぜひパラリンピックについては、今後とも注力してもらいたい。

◇子供たちのスポーツ離れがとても大きくなっていて、特に日本の武道、柔道や剣道の普及率はとても統計審議会の統計にも上がらないと言われている。何らかの形で、テレビで、こどもたちに関心を持ってもらうよう刺激を与えてやって欲しいと思う。

◇TBSは、スポーツ番組についても、メジャーのみならず、マイナー的なものも積極的に取り上げている。これは大変ありがたいことだと思う。マイナーなものも、テレビでいろいろ紹介することで、将来メジャーに育っていくと思う。ぜひいろいろな角度から焦点を当てて紹介してもらいたい。


番組審議会事務局