このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。
2005年11月21日(月)開催 / 第481回番組審議会より
ズバリ言うわよ!
21時00分〜21時54分放送
報告事項
「放送と青少年に関する委員会」について
その他
委員長 | 生田正輝 |
副委員長 | 沼田早苗 |
委員 | 音 好宏 金澤正輝 篠塚英子 月尾嘉男 寺島実郎 ねじめ正一 横澤彪 山藤章二 |
井上社長(TBSテレビ社長)
若林副社長(TBSテレビ副社長)
財津専務取締役
城所取締役(TBSテレビ専務)
石原編成制作本部長・報道本部長(TBSテレビ常務)
石川編成制作副本部長(TBSテレビ取締役編成局長)
金平報道副本部長(TBSテレビ報道局長)
成子編成考査局長
田代TBSテレビ制作局長
石橋TBSテレビ制作三部プロデューサー
山中番審事務局長
◇「女性を幸せにすること」をテーマに昨年8月スタートした。
「運命のカルテ」では、毎回ひとりのゲストをスタジオに招き、「表年表」と
「裏年表」という2つの年表を軸にトークを展開。
「女100人幸せ白書」では、幸せになりたい様々な年齢の女性100人を
スタジオに集め、結婚・恋愛に関する質問を通して現代女性の意識を調査。
最後には「細木流幸せになるアドバイス」で世の女性たちに正しい生き方を提案していく。さらに未婚の女性たちがいつ結婚してもいいように様々な常識を勉強していく「細木流・嫁入り前の常識スクール」も好評。
今後は家族の問題を解決していく新企画も用意している。
◇細木さんは「心照学研究家」という立場で出演しているようだが、民放連放送基準の第8章の54・「占い、運勢判断およびこれに類するものは、断定したり、無理に信じさせたりするような取り扱いはしない」という条項をくれぐれも遵守してほしい。「西郷輝彦は自殺する」と断定する刺激的タイトルで視聴者を惹きつけるのは羊頭狗肉ではないか。「能なし」「馬鹿」「無能力者」といった言葉が番組中飛び交うのも、子供に悪影響を与えるのではないか。
◇おそらく一番の売りは細木さんの「毒舌」なのだろうが、彼女が世間からは「心照学研究家」というよりも「占い師」として見られていることは間違いないだろう。その前でゲストが顔をこわばらせ、小さくなっているところが受けている。こういうつくり方がいいのか、やや疑問に思った。
加えて、「毒舌」の中身も、旧来型の秩序の肯定・権威の再生産ばかりで、それに若い人たちがコロッとうなずいてしまうことに違和感を持った。
◇てっきり占いの立場で言っているのだろうと思っていたので、細木さんが、なぜ説明も占いのプロセスもなしで、「西郷さんが大殺界に入ったから自殺する」という方に持っていくのか、全く理解できなかった。もし本当に人生相談ならば、「自殺」という言葉は出さなくても、さまざまな材料から辛口のコメントをすることはできたはずだ。最後の窓拭きも、細木さんの「女は家庭に入るべき」という考え方につながるのだろうが、女性が多様な生き方を求めている時代に、細木さんに反対意見を言うような場面がどこにもないということが問題だと思った。
◇この番組の好悪は、ほぼ100%細木数子という人物への評価で決まる。彼女の若者に対する直言は、古いタイプの日本人にとっては至極当然のこと。テレビという偉大な影響力のあるメディアで、カリスマ性のある人間が常に発言していてもらわないと、世の中の「しんばり棒」がなくなってしまう。下品・言葉が乱暴などの批判は枝葉末節のこと。彼女を発掘したTBSの先見の明を評価したい。
◇世のオバサン・パワーの象徴。この番組の持っている毒っぽさ・いかがわしさは、今、テレビを探しても余りない。ほかの細木さんの番組と決定的に違うのは、くりぃむしちゅーが笑いにまぶして彼女のストレートな品の悪さを巧みにソフト化していることで、番組の高視聴率の要因はそこではないか。「花嫁修業」コーナーも、1分で終わる話を時間をかけて料理しているのがラジオ的で面白い。
◇一見細木さんが高みから喋っているように見えるが、くりぃむしちゅーの突っ込みを含めて、細木さんをゲストの横に立たせることで、ゲストの反応に視点を移動させている。非常に計算された番組。
今は他人から「言われたい、説教されたい」という人も結構いて、それが番組を成立させている背景だと思う。
◇例えば占い師が自分の方法論において注意を促したりするということはあっていいと思うが、公共の電波で、特定の人物に対し「自殺の可能性がある」と決めつけるのは、限界を超えている。他人を傷つけて、その枠組みの中で笑いをとっていくなどとんでもない話で、ある種の禁じ手を超えた番組だと思う。
◇これはオカルト番組だ。オカルトは完全に否定されるものではなくて、その中から科学が次々と生まれてきた。問題は制作者が本当にオカルトから何か社会につくり出せるものがあるということを意識しているか否かだ。男女共同参画の時代に、相容れない価値観を強調している。そのことを、局がきっちり認識して放送しているかが重要だ。視聴率がすべてというのではなく、もう少し長期に「TBSは何を社会に提供すべきか」を判断してほしい。
◇ゲストは皆タレントで、覚悟して来ている。ギリギリの話が出て、普通の人がそう言われたら立ち直れない場面でも、見ている方は「タレントなんだから」という思いで許しているのかと思う。司会の1人がギリギリまで突っ込んで、もう1人の方が立て直しているところが随所にあって、深刻さを和やかにまとめているうまさを感じた。
◇既にBPOから出されている要望書(「血液型の取り扱い」など)も、制作者はどうか頭の片隅に置いてほしい。かつてTBSで起きた問題の時も、いろんな指針が出来たが、形の上だけでは余り意味がない。BPOが回答要請を出すというのは、いろいろな苦情が届いていることなので、よく考慮してほしい。
番組審議会事務局