番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2005年9月20日(火)開催 / 第479回番組審議会より
乱!総選挙2005
19時58分〜26時00分放送

議題

報告事項
 10月編成について 

出席者(敬称略)

委員長生田正輝 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音 好宏 金澤正輝 篠塚英子 ねじめ正一 横澤彪 山藤章二 

局側出席者

 井上社長(TBSテレビ社長)

 若林副社長(TBSテレビ副社長)

 財津専務取締役

 城所取締役(TBSテレビ専務)

 石原編成制作本部長・報道本部長(TBSテレビ常務)

 石川編成制作副本部長(TBSテレビ取締役編成局長)

 金平報道副本部長(TBSテレビ報道局長)

 成子編成考査局長

 桶田TBSテレビ選挙本部プロデューサー

 山中番審事務局長

番組内容について

◇郵政民営化をめぐる突然の解散。そして法案反対派への容赦ない対立候補の擁立と新党結成。
戦後60年目の熱い夏の総選挙はまさに「乱!」になった。
小泉首相が勝利するのか。あるいは政権交代・政界再編があるのか…。蓋を開ければ、小泉自民の圧倒的大勝に終わった今回の総選挙を、TBS・JNNでは「乱!総選挙2005」と銘打って6時間にわたって開票特別番組を放送した。 
  アンカーは筑紫哲也。そしてこれまで筑紫と15年あまりにわたって夜のニュースの顔を競ってきた久米宏をスペシャルアンカーに、最強の布陣で臨んだ。
  筑紫と久米がこのような形で番組に取り組むのは初めて。注目候補や政界のキーマンにスタジオから生直撃、二人の経験と瞬発力で最新の開票速報と刻々と動く政局を伝えた。

◇出口調査と実際の議席との誤差も、他局と比べ恥じるところはなかった。時間別の視聴者層を分析すれば、報道ばかりではなく、ドラマ作りにも資するのではないか。但し、画面が司会・ゲストと盛り沢山な上に、データやメールも表示され、高齢者には見辛い。「ぽっと出の女の子」「くの一」など、セクシャルハラスメントに成りかねない発言にも注意して欲しい。

◇「NEWS23」での党首討論が非常に抑制が効いてわかりやすく、この特番もその延長線上にあったと思う。特番では、久米宏さんの持つ「時代感覚」が生きて、18年間「ニュースステーション」のキャスターをしていたことによる違和感を全く感じなかった。TBS・JNNの選挙報道の良さはしっかりしたデータだと思う。出口調査・事前調査の方法をきちんと説明することが信頼の向上につながると思う。

◇日本の政治にとって「自民か民主か」の岐路であった筈なのに、話題性のある一部の候補に時間を割きすぎているきらいがあり、公平性の気配りが欲しかった。3部での一般有権者からの電話の感想は大変面白かったが、どのようにその人たちを選んだのかという情報も知りたいと思った。

◇小選挙区制が根付いたもとで、二大政党制による選挙となる千載一遇のチャンスだったのに、「刺客」だの「くの一」といった人間中心に流されてしまったのが残念だった。マスコミは「政策中心・政党中心」の報道に留意して欲しい。

◇中選挙区制と比べて、「誰が入ったか」より「どの政党が何議席取ったか」が注目される選挙となるので、途中で挿入されるこれまでの選挙運動VTRが効いていないというか、まだるっこしく感じた。

小泉総理が国民に訴え、テレビが感情を増幅させる。人間は感情でしか納得しないのだなということがわかった選挙だった。従来の人々を説いて納得させる仕方というのが、実は人に届かないし、古臭く感じられたのが自分自身興味深かった。

◇始まるやいなや「自民歴史的大勝」と結果が出てしまうのは、最初のシーンで犯人がわかってしまうようで、ガッカリしてしまう。昔の選挙速報の方が、時々刻々のスリルがあった。送り手と受け手の感覚の乖離を感じる。

久米さんという、テレビの中のテレビっ子を起用したのは大成功だった。起用を決断したTBSと、ライバルを受け入れた筑紫さんの大人の度量と自信に敬意を表したい。

◇スタジオの300インチモニターの大画面が大変迫力があった。CGを駆使したスタジオワーク、データ処理もわかりやすかった。中継が時間切れになる時の久米さんの仕切り、有権者の対応に思いやりを感じた。出演者がベテランなので、画面から落ち着いた感じが伝わってきた。

◇ほかの局の開票番組は、NHKを除いて、あまりにもショー的になり過ぎていた。テレビ向きかそうでないかで、政治家の資質が決まる時代になった。素朴な疑問だが、当確を開票率ゼロで打つ必要性が果たしてあるのか。それならそれで、出口調査などもう少し丁寧に説明して欲しかった。


番組審議会事務局