番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2005年6月20日(月)開催 / 第478回番組審議会より
夢の扉 NEXT DOOR
18時30分〜19時00分放送

議題

審議事項
 「夢の扉 NEXT DOOR」6月12日(日)18時30分〜19時00分放送
その他
 

出席者(敬称略)

委員長生田正輝 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音 好宏 金澤正輝 篠塚英子 寺島実郎 ねじめ正一 横澤彪 山藤章二 

局側出席者

 若林副社長(TBSテレビ副社長)

 財津専務取締役

 城所取締役(TBSテレビ専務)

 石原編成制作本部長・報道本部長(TBSテレビ常務)

 石川編成制作副本部長(TBSテレビ取締役編成局長)

 金平報道副本部長(TBSテレビ報道局長)

 成子編成考査局長

 菊野編成制作本部プロデューサー(ドリマックス・テレビジョン現職出向)

 山中番審事務局長

番組内容について

◇あらゆる業界・ジャンルで「未来の夢」をめざす、人・グループ・プロジェクトを追うドキュメント番組 として、2004年10月スタート。番組のテーマは明るい未来を開く〈夢〉。次代への扉〈NEXT DOOR〉を開けていこうとしている人達に、毎回「ドリームナビゲーター」としてレポーターが密着。宮沢りえの繊細なナレーションで送る。
番組のシンボルは、未来の日記帳「MY GOAL」。番組に出演する主人公には必ず、自分の「夢」とそれが実現する日付を書き入れてもらう。数年後、数十年後となるかもしれないその日付の入った「夢」を目指し奮闘する彼、彼女が番組の幹となり、彼らの「夢」がそのまま番組のテーマとなる。
対象回「東京の伝統芸能を守り広めたい 杉林仁一」は、浅草三社祭を宮頭として代々支えて来た新門七代目・杉林仁一さんにスポットを当て、三社祭の花「宮出し・宮入り」の舞台裏を描きながら、伝統継承に賭ける杉林さんの熱い思いを伝える。
(委員には、参考として6月5日放送「世界に通じる国際人をよりたくさん育てたい 井上春樹」も視聴して頂いた)

◇青少年に見せたい番組として推奨されているが、対象が高校生・大学生なのか、ビジネスマンなのか、観ていて曖昧だ。30分枠という放送時間からも、対象をもっと割り切ったらどうか。夢を追いかける人に焦点をあてるなら、その「光と影」、努力と到達へのプロセスの取材をより深めて欲しい。

◇(5日の「英語教育」は)「生活している人の目」で夢を語っている。作り手の目線が低いので、好感を持った。ただ、井上先生の教育に賭ける思いなど、本人からではなくストーリーから見えて来るメリハリが欲しい。「三社祭」も全く同じで、あの親子関係を本人に語らせずに、周りでもう少し組み立てていけば、より良かった。ナビゲーターの役割が判り難かったが、宮沢りえさんのナレーションが良く補って番組を引っ張っていた。

◇全体的に30分という短い枠の中で上手にまとめている。宮沢さんのナレーション、一社提供のCMとも非常にマッチしていて良い。「三社祭」は、本当に若い人に見せたいなら、もう少し祭り、神社や3つの神輿の由緒など基礎知識に触れた方が良い。また、あれだけの祭が精密な計画・タイムテーブルのもとで行われているという組織、仕組についても説明が欲しかった。

◇(「英語教育」の)卒業生が言った「答えは1つじゃないよ」。
2つの言語を使っての教育を経て、多様な価値観を持ち得たゆえのは大変素晴らしいワンフレーズで、番組の全てを語らしめていた。「三社祭」の杉林さん父子は、地域と密着して、伝統を守っていく厳しさ、人間像が良く描かれていた。こうした地域を下支えして文化を守っている人々の姿を、例えば隠れた祭りを通して追うことが、地方活性化に繋がっていくのではないか。

◇ずばり、レポーターの女性の力量不足を感じた。視聴者はせっかちだから、対象人物にいきなり肉薄してくれて、人間関係を非常に密に保ってくれるようなレポーターでないと、行儀がよく、外側をなでているような上っ面のレポートになってしまうおそれがある。見る方は、いきなりクライマックスが見たい。それには相当下ごしらえで温度を上げておかないと、話の佳境に入らない。あの難しい頭(かしら)の親父さんの懐にレポーターが飛び込んでいない、その距離感が画面から見えてしまうもどかしさがあった。

◇日曜夜の6時半という時間帯は、もうちょっとダラッと見たい。この番組の趣旨と時間帯がマッチしていないと思う。若い人たちに向かって、「こういう夢を持った人たちが健気に生きているよ」ということを紹介するには、現在のやり方では余り伝わらないし、乗ってこないのではないか。伝統を守っていくばかりでなくて、そこから何か先につなげていく、「サムシングニュー」の彫り下げが欲しい。

◇人間ドキュメントは、ただ一言「ああこの言葉は良いな」というキーワードがあれば大成功だと思う。私は、三社の頭の長男が亡くなって、次男が病室で後を託されたセリフが胸に残った。伝統を受け継いでいく葛藤が当然あるはずで、そこを更に深めて欲しく、30分では物足りないと思った。この種の番組は最近どんどん減っているし、最後にコメンテーターが出て持ち上げないのが良い。非常に期待できる番組だと思った。

◇レポーター的な人を迂回させる手法は、30分枠ではまことにかったるい。その人そのものをもっとひたすら懸命に描き出した方がいい。「英語教育」の場合、太田市が置かれた特殊性という「遠景」を抜きにして、いきなり「近景」を描いているので、井上氏の情熱が伝わらない。「三社祭」も、予定調和的に「みんな立派ないい人ですよね」と描こうとしているから面白くない。渾身の力を込めて鋭く人間と時代に対して、この人を取り上げる背景を押さえ、その人の表情が語っているものを引き出さないと、いきなり近景にアクセスしようとしても無理だと思う。

◇祭りという混乱した状況、時間などさまざまな制約のある中で、大変上手く撮っていた。緩急のある画面構成、主人公一家の江戸っ子らしい人間臭さを良く引き出していた。レポーターも、女性の眼から見ても嫌味が無く、一社提供のCMが雰囲気がとても合っていて良かった。

◇「三社祭」もお祭りという側面でだけ見ると大変面白いが、主題が割れてしまって、焦点を絞ってアプローチする難しさを感じた。このジャンルの番組には大変好感を持っており、なお一層努力して欲しい。


番組審議会事務局