番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2005年3月22日(火)開催 / 第475回番組審議会より
2005ダイキンオーキッドレディスゴルフ
15時30分〜16時54分

議題

報告事項
 4月改編の概要について
審議事項
 「2005ダイキンオーキッドレディスゴルフ」 3月6日(日)15時30分〜16時54分放送
 その他

出席者(敬称略)

委員長生田正輝 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音 好宏 篠塚英子 ねじめ正一 横澤彪 山藤章二 

局側出席者

 井上社長(TBSテレビ社長)

 若林副社長(TBSテレビ副社長)

 財津専務取締役

 石原編成制作本部長・報道本部長(TBSテレビ常務)

 石川編成制作副本部長(TBSテレビ取締役編成局長)

 岡元報道副本部長(TBSテレビ報道局長)

 山中編成考査局長兼番審事務局長

 TBSテレビ石川スポーツ局長

 TBSテレビスポーツ局中継制作二部河野プロデューサー

番組内容について

◇今年で18回目を迎えた「ダイキンオーキッドレディスゴルフ」は、海外で目覚しい活躍を続ける宮里藍・横峯さくら選手らを迎え、国内での開幕第1戦ということもあって、事前から大いに関心を集めた。TBSでは「世の中の盛り上がりにきちんと答えること」と「トーナメント中継の基本は崩さないこと」をコンセプトに、注目の宮里フィーバーと優勝争いの起承転結を追った。金・土の予選ラウンド(関東ローカル)をはじめ、3日間に亘り放送。4日(金)は9.0%、5日(土)は8.0%、決勝6日(日)は10.0%と、過去最高を記録した。

◇昔は、「遠くへ飛ばす」ことに見ていて快感を覚えていたが、最近の中継は、ラインを読んでストンと落とす快楽に有り様が変わってきている印象だ。今回は宮里さんに対する期待度というのが圧倒的に大きく、彼女のインタビューを聞いていて、却って痛々しかった。宮里さんも、メジャーリーグではないが、気持ちは既にアメリカに向かっていて、日本のゴルフ大会の将来を思った。野球派の私としては、ゴルフ中継での解説者の役割が曖昧に思う。

◇「TBSの『変』」の番宣スポットは、今までのTBSらしくなくいい。

世界の舞台であれだけ活躍した宮里さんの中継は誰でも見たい。それを真っ先にきちんと見せたのは、「面白主義」の意識改革の結果だと思う。反響の9割が抗議というのは、逆に中継が成功したということ。藤野さんの優勝インタビューのあとに、宮里さんの声があったというのは、そこがTBSの良識で、逆だったら問題が起こったかもしれない。TBSが少しずつ変革しつつある姿勢の中で、この番組もそれをフィーチャーしていたと感じた。

◇スポーツ大会のスターというのは、目まぐるしく変わって良い筈で、それを世間の関心に応えるからといって、初めから宮里・横峯と決めて作ってしまうのは、トーナメント中継の基本は崩さないという原則と明らかに背反しているし、彼女たちが不振の場合、現場が対応できない。前半は宮里藍の人間ドキュメント番組かなと思うほどで、「順位がどうなっているんだ」と誠に腹立たしかった。変革に前向きなのと、世間に迎合するとは別。TBSにはもう少し理性的な立居振舞を望みたい。

◇優勝に絡んでいた服部道子さんが帽子にサングラスで、表情が全く見えなかったのは残念。作り手側から注文はつけ辛いだろうが、視聴者あってのプロだと思う。優勝が決まったのは17番のバーディーパットだが、争っている2人の緊迫感と、球筋などをもう少しクローズアップしていれば、視聴者の不満も少なかったのではないか。

◇ゴルフを全くやらない立場から見ると、マラソン中継に比べて、風景にしても情報にしても、惹きつけられる緊迫感・魅力に乏しい。平日でも、6,000人も集まるギャラリーとは、どういう人たちなのだろう。賞金にしてもどれだけのばらつきがあるのだろう。そんな情報を挟めば判り易かったのではないか。

◇マラソンや陸上など動きのあるものに比べて、宮里さんにはかわいそうだが、一連のブームだけで視聴者を引っ張るのは辛かったのではないか。マスターズのような迫力が望めないならば、それをフォローする形で、普段ゴルフを余り見ていない人たちの為に、もう少しポイントを丁寧に解説するなど工夫をすれば入り易かった。

◇土曜日、大変寒い中でプレーした宮里さんが、「明日は良い試合を皆さんに楽しんで貰いたい」と話すのを聞いて、若いのにギャラリーに気を使う、素晴らしいプロだな思った。最終日、宮里さんと横峯さんのハイライトから、ベテランの服部さんたちのライブシーン繋がり、1時間半飽きずに見ることが出来た。やはり最後のドキドキ感を盛り上げるためには、解説者とアナウンサーの、余り多く語らない短い言葉というのが、大変重要だと感じた。

◇ゴルフというのは、自分がやって楽しいのであって、「見るスポーツ」ではない。それをテレビで見せるためには、随分工夫があるだろうが、無理が出ることは否めない。見る人の立場も、単に勝負のショーとして意識する人と、技術面で参考にしたいという人もたくさんいる。では解説はどちらのレベルに立つのか、など偏りも出て来る。時には、スターに焦点を合わせるのは構わないが、工夫がもっとあって然るべきではないかと思う。


番組審議会事務局