番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2004年11月15日(月)開催 / 第471回番組審議会より
爆笑問題のバク天!
19時00分〜19時56分

議題

審議事項
 爆笑問題のバク天!」10月30日(土)19時00分〜19時56分放送

出席者(敬称略)

委員長生田正輝 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音 好宏 篠塚英子 寺島実郎 ねじめ正一 山藤章二 横澤 彪 

局側出席者

 井上社長(TBSテレビ社長)

 若林副社長(TBSテレビ副社長)

 財津専務取締役・城所取締役(TBSテレビ専務)

 石原編成制作本部長・報道本部長(TBSテレビ常務)

 石川執行役員(TBSテレビ取締役編成局長)

 岡元報道副本部長(TBSテレビ報道局長)

 山中編成考査局長兼番審事務局長

 TBSテレビ田代編成局長

 TBSテレビ制作三部吉田プロデューサー

番組内容について

◇視聴者から身近の「おかしな人」「変わった人」を報告して貰う「投稿型人間観察バラエティー」として03年10月スタート。司会は爆笑問題と川田亜子TBSアナウンサー。番組の中でも「六法全書に書いたパラパラ漫画」の投稿がブレイク、「パラパラ日本昔話」として定着したほか、視聴者の奇抜なアイディアを若手芸能人が代って実現させる「一度やっちまいな!」コーナーなど、「生活に密着した面白いこと」にとことんこだわり、C・T層の幅広い支持を得ている。

◇番組を見てもホームページを見ても「投稿の質がやはり番組を左右してしまうのかな」と思った。番組としては、視聴者との関係をどういう風に作って行こうとしているのか、視聴者との関係を発展させていくことによって、ある種の新しい番組づくりを志向しているのかが気になった。
(事務局註・制作側より)「投稿は週に何十件。その中で、オンエアに耐え得る内容をVTR化している。今テレビの作り手と視聴者が非常に遊離しており、かつての深夜ラジオの欽ちゃんのように、視聴者の方々のアイディアが気軽に反映できる場を提供して行きたい」

◇「パラパラ日本昔話」が非常に面白いアイディア。これだけ纏めてオンエアする回もあって良い。新潟地震で被災された方も、自分たちの報道への関心から、テレビをずっと見ている。その中で、こういうほっとする番組は必要だと思った。雛壇に並んでいるタレントたちの役割が曖昧で、よくわからない。辛いことも忘れて、1時間ボーッと笑って、アハハで終わってしまう趣旨からすると、もう少し整理された方がいい。

◇鶏の人工孵化の企画から、生命の不思議さを感じた。子供たちの教育にも大変プラスになるし、親子の話し合いのきっかけにもなるのでは。そういった側面からの企画を今後も是非取り上げて欲しい。幼児が「高い高い」でどれだけ笑うか、というのは、ちょっと精神的に苦痛を持って見ていた。ああいうものについては、限界を十分にご理解をされた上で、番組をつくって頂きたい。
(事務局註・「高い高い」については13日の放送で「新生児の場合、瞬間的に強く揺すったり等すると身体に悪影響を及ぼす」旨注意喚起を呼びかけた)

◇常にかまびすしくて、下品で、強引に笑いをとるバラエティーに比べて、パラパラ漫画にしろ人工孵化にしろ全体に「手作り感」への強固な意志に溢れていることに好感を持った。今どきCGで処理せずに、敢えて手書きで人間臭さを出す。演出不在の番組が非常に多い中で、「作り手」がはっきり見える。時代の趨勢が手作りから離れてしまう中で、とても人間的なタッチを主流にしているのが有り難いなと思った。

◇太田光が、この番組が好きなのが見ていて伝わって来る。タレント苛めに対して、常にフォローも考えている。青少年への影響もあるので、そういう制作者の良心を維持して欲しい。「面白主義」に徹しているのがとても快い。「何でもあり」の精神は、TBSのバラエティーでは抜きん出ていて、作り手側の意図というのがきちんと匂ってくる。出来ればあの孵化したヒヨコの今後もきちんとフォローして欲しい。「パラパラ漫画」は、その前をきちんと、うんと丁寧にほぐして前振りする方が面白い。

◇鶏卵が孵化するところはもっと若手芸能人が体を張るとか、孵化までの「しょうもないことを、しょうもなく頑張っている」日常をもう少し見せる工夫が欲しい。コンビを変えてコントをするコーナーは、コンビを変えたことによるプラス・アルファ、自虐的でも被虐的でもない「新しい笑い」をかいま見たいと思った。

◇TBSも含めて、今の全ての番組で、メインイベントと余興とが逆転している。重厚で納得の行く番組があって、その幕間に爽やかな笑いが存在していればポジティブなのだが。クレージーキャッツ、ドリフにしても、時代そのものの持っている重さへのフラストレーションへの反転として面白かった。漠然とした保守化の中にある今、「投稿型の人間観察バラエティー」は優れた着眼とおもいつつ、「この時代の笑いのシンボルなのか」と自問自答している。

◇鶏の話題にしても、ゲストの中に、家庭における「ご意見番」的存在がいて、「本当はそうじゃないんじゃないのかな」というような話が1つ入るだけで、かなり深みが出るのではないか。アンガールズさんと辛酸なめ子さんのコント。写真の世界も、今は色が余り出ていなかったり、コントラストがあって、ちょっと汚かったり、理解できないものが出てきており、「今の流行りなのか」と、共通するものがあった。

◇くだらなくて馬鹿馬鹿しい。それはよく判るが、「思いっ切り笑えるか」というと、にやっと笑ってみたり、苦笑したりという程度。赤ん坊の「高い高い」など、企画は相当慎重に選んで欲しい。私自身動物愛護に関わっているので、例のヒヨコの将来は、余程気をつけて頂きたい。


番組審議会事務局