番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2004年4月19日(月)開催 / 第466回番組審議会より
朝の情報番組「ウォッチ!」について

議題

報告事項
 4月番組編成について
 3月14日(日)放送「噂の!東京マガジン」に関する訂正放送について
審議事項
 朝の情報番組「ウォッチ!」について
 その他

出席者(敬称略)

委員長生田正輝 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音 好宏 篠塚英子 寺島実郎 ねじめ正一 山藤章二 横澤 彪 

局側出席者

 井上社長・若林常務取締役

 財津常務取締役・城所常務取締役

 児玉常務取締役・岡元報道局長・田代編成局長

 玉置編成考査局長・田澤番審事務局長

 小櫻TBSライブ社長

 吉崎プロデューサー

報告事項

◇冒頭、今年度より就任した寺島実郎委員の紹介があった。新たな任期にあたり、互選の結果、正・副委員長には生田正輝委員・沼田早苗委員が選出された。

◇田代編成局長より、2004年度4月期編成の概要が報告された。水曜夜9時から11時までを「水曜プレミア」2時間枠として、スペシャルドラマ・劇場用映画等を機動的に編成。平日朝の「ウォッチ!」を30分枠大して5時半からのスタートとし、キャスティングとコーナーをリニューアル。昼ベルトも11時半からのニュース、正午からの1時間の娯楽ゾーン「はぴひる!」に役割を明確化しての改編を大きな柱としている。

◇事務局から、3月14日(日)放送「噂の!東京マガジン」に関する、放送法第4条1項に基づく訂正放送実施(4月11日同番組)の報告があった。

番組内容について

◇朝の情報番組「ウォッチ!」が、3月29日(月)から開始時間を30分早めて3時間の情報ワイドとしてリニューアルした。キャスターも従来の土井敏之アナウンサーに、新たに城戸真亜子が加わり、ラサール石井自らが編集長として各紙を斬って行く「朝刊ウォッチ!」、その日の話題を多角的に分析する「最大関心事」、森田正光のお天気コーナーなど、政治からエンタメ情報まで、日本と世界の今を元気にビビッドに伝えて行く。

◇ラサール石井のなどは非常にテンポが良く、出演者が一新されて、明るくなった。ただ、リニューアル前は複数のコメンテーターがいて、ある意味噛み合ったり、噛み合わなかったりという面白さがあったが、今回から各曜日一人になってしまって、前回から継続している日垣隆さん、中島渉さんも単独だと浮いていて暗い印象がある。場合によってはラサールとコメンテーターがもう少し絡むなどすれば、背景説明や俯瞰が出てくるのではないか。

◇ニュースをラサール石井一人に任せて読ませるのは良くない。視聴者からも「言い淀むのが気になる」という指摘がある。彼は批判精神もあるし良いセンスをしているのだから、アナウンサーに正確に読んで貰い、そのニュースを選んだ理由をラサールがコメントする方が、ずっとインパクトが強いのではないか。静岡磐田市長の長女失踪や、高名なアナリストの猥褻容疑など、事件の帰趨が定まっていない案件についての取り上げ方、コメントは慎重な扱いが必要なのではないか。城戸真亜子は明るくて良いが、どういう場所でピシッと発言するかなど、役割と扱いもこれからの工夫で随分変わって来るだろう。

◇朝の時間帯に横並びで切り込んで行って、視聴率を競っていくことが本当に必要だろうか。最低限のニュース提供は必要でも、それ以外の切り口で番組を開発して行くことも選択肢ではないか。東京中心ということで、日本全国の四季の移り変わり、我々が日本の中で「朝を迎えた」という実感が番組に乏しい。国際情報も、新しい形で提供して頂ければ有り難い。
3時間という長丁場だから、それぞれ1時間単位で異なる視聴者を想定して番組作りをしているのは判るが、それなら「1時間毎3本立て」のメリハリをもう少しつける必要がある。やはり「朝はNHK」という生活習慣というのは、余程のことがないと変え難い。「朝なりのニュースの料理の仕方」を、あくまでも「お客様中心」に考えて工夫して欲しい。

◇皆でナアナアになって、妙なファミリー感が出来上がる前の感じがあり、それがある種の集中力、ドキュメンタリー的面白さになっている。城戸真亜子と土井敏之アナは、嫌味がない、すっきりした、こざっぱりした、いわば「ベジタブル」な感じ。そこにラサール石井という異質なものをぶち込んだのは冒険だが、先日も「大宅賞受賞者」など、普通なら絶対拾わないネタを紹介するなど、彼らしいパーソナリティが出ている。確かに読みの技術では問題があるが、代読してもらうよりは、彼が好きで、なぜこれを選んだかという熱気が伝わってくるので、読ませることでトレーニングをしていけば良い。
「日刊最大関心事」コーナーも、必要以上に巨大なパネルを使って、スタジオにいる全員の気持ちを「先生対生徒」の様に集中させる。妙に時代遅れの手づくりの感覚は悪くない。理性的な解説をじっくり引き出せる場にもなっている。全体にゆっくりした手づくり感覚。いたずらに「慣れた人」を集めて数字を狙わず、コツコツと「有機農業」で作って欲しい。

◇「おはよう!グッデイ」の頃に比べれば、とにかく明るくなって、元気良くなって、いい加減になった。余り責任感を持たずに情報を流してくれるのがいい。決定的なのは、ラサール石井の起用。見ている側がある程度リズムで「ゆったり」見たいと思うのだが、段々人数が増えて来たおかげで「元気良さげ」に感じる。「人間の味」というか笑いがスタジオで聴かれるのは何年ぶりだろう。小林麻耶アナもお台場(CX)系。頑張って、TBSの報道番組らしからぬ番組をどんどん作って頂ければと思う。

◇朝の視聴者というのは、大体ボーッと見ている人が多い。そういう時、番組に緩急をつけ、引っ張っていく人間が1人いてもいい。この番組は、すごく弛んでいる感じが、計算して弛んでいるのなら良いが、見ていて本当に弛んでいるのではと思う瞬間がある。ラサール石井には、「この番組をやったことで人生が変わった」と言われる位まで取り組んで欲しい。誰かがこの番組と心中するという意気込みが、もう少し続けてくれば、きっと見えてくる。その時、この番組はすごく面白くなるのではないか。

◇結局、「最大関心事」コーナーのような掘り下げが、差別化に繋がっていく。ビジネスマンに7時15分から30分まで、NHKからTBSに回すモチベーションを高めるなら、ワンポイントの視点で、経済統計でも株価の動向でも斬新な着眼点みたいなところをスパーンと斬ってくれれば非常に定着する。表層的な似たり寄ったりではなく、テーマ設定をして継続的に追う。例えば2008年問題は、240万人定年という時代に、「団塊の世代はどう生きていくのか」ということを継続的に帯で行ったら、その世代の人間は会社に出てきて「お前、見たか」という話になるんじゃないか。
一方、「ネット社会」と表のテレビ・新聞の報道が交錯し始めている。イラク人質事件の流言蜚語も、その裏の情報力が全く意味を持たなければ無視していいが、それが意外なほど国民の認識を変えてしまう。表メディアの平板な通信社情報的なものだけでなく、ネットとのリンクというダイナミズムが、報道番組にとってこれからの差別化とか個性化に必須なのではないか。

◇朝から考え込むより「笑い声が聞こえて、アットホームな感じでいいかな」という感想。スタジオに皆の顔が見えて、交互に報告することで、一体化しているのが見えるのが快い。城戸真亜子の自然体、ラサール石井のストレートなコメント、天気予報の前の「へえーっ」と思わせる情報も為になる。キャスターもアカ抜けてきたが、余りすっきり良い感じではなくて、今までの感じでも良い。緊張感を保つ為にも、余り慣れ過ぎてもいけない。

◇視聴者の朝のパターンが殆ど決まっているなか、それを奪い取るのは並大抵ではない。「奪わなくても良い、わが道を往く」というなら別だが、キャストやコーナーという「発射装置」を揃えても、余程アクセント・特徴を出さないと振り向いてくれない。3時間といっても基本的に「ながら視聴」だから1時間で良い。しかし、リピートと同時に、刻々変わる視聴者のパターンを掴まえる努力も必要だろう。
ラサール石井に限らないが、コメントは社の意見なのか、個人の意見なのか。純粋に客観的でなければならぬというのは無理だが、その辺がいつも曖昧になる。


番組審議会事務局