番組審議会議事録

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番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2004年2月16日(月)開催 / 第464回番組審議会より
「ぴったんこカン・カン」について
18時55分〜19時54分

議題

諮問事項
 放送基準改正について
審議事項
 1.2月10日(火)放送
「ぴったんこカン・カン」について
 2.その他

出席者(敬称略)

委員長生田正輝 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音 好宏 篠塚英子 ねじめ正一 山藤章二 横澤彪 

局側出席者

 井上社長・若林常務取締役

 財津常務取締役・城所常務取締役

 児玉常務取締役・岡元報道局長・田代編成局長

 玉置編成考査局長・田澤番組審議会事務局長

 小田TBSエンタテインメント社長・谷澤プロデューサー

諮問事項

◇事務局より、民放連(日本民間放送連盟)放送基準の改正について、放送法第3条の4の3に従い、審議会に諮問した。
民放連では、約5年ごとに社会環境の変化に対応した放送基準の見直しを行っている。
今回の見直しでは、放送に対する公的規制の動きや一般視聴者の厳しい批判の高まりを踏まえ、自主自律の姿勢を一層強固なものとすることを念頭に、「報道の目的の明確化、児童・青少年へのさらなる配慮をねらいとした性表現に関する規定の整備、健康志向の高まりに伴い増加しつつある健康情報番組やショッピング番組の留意事項の具体化、あるいは消費者金融CMの適正化などに関し、条文の新設を含めて規定を整備する」としている。
審議会合議の上、次回第465回の番組審議会で答申することとした。

◇「ぴったんこカン・カン」
2月10日(火)午後6時55分〜7時54分

番組内容について

◇復刻版の番組としては、今風にきちんと出来ているのではないか。
一言で言えば、今の日本を象徴する「とても平和な番組」として、夜7時台という激戦区で健闘していると思う。
安住アナが久米宏になれるかといえば、現時点では無理。「ボケ」の役割を負わされたり、タレントのおもちゃにされるのは、将来的に如何なものか。
「クイズのようで、クイズでない。ゲストの足跡を辿る番組のようで、そうでもない」という雰囲気を大事にしている番組なので、ロジカルに攻めていくと物足らない番組になってしまう。その雰囲気を守るためには、安住さんに頑張って頂くしかない。大事に育成して欲しい。

◇「クイズ番組」なのか、その人の「ヒストリー・人生」そのものを深く掘り下げていくのか。どちらも中途半端で両者が溶け合っていないため、感情移入出来ない。
久本雅美さんが登場すると、彼女独特の「色合い」が出てしまい、安住アナの存在が霞むことも、他の番組との差別性・新しさを見えにくくしている。こうした昔の番組をリニューアルして続けようと思うと、ワンパターンと批判されながらも、ワンパターンゆえの凄さが見えてくるものだが、その域にも達していないと思う。

◇リニューアルという手法は、急にオリジナルな企画を立てるよりは、自社の財産を掘り起こし、新しい風を入れるという意味でビジネスとして確率が高く、基本的に賛成だが、今回は元祖に遠く及んでいない。
安住アナが決定的に弱い。久本雅美さんのような強烈な個性の上に立ってタクトを振るには、相当な「突っ張り根性」が必要だが、まだそこまで了見を極めていない。
最近、「トリビアの泉」や「ヘキサゴン」など、無駄知識・ちょっといい話を切り口にした「大人の琴線」に触れる番組が当たっている。ゲスト中心の構成なのは判るが、折角高田純次さんや杉田かおるさんら、自己を語ると大人のトークが出来るタレントを使いながら、持ち味が引き出せていないのは勿体無いと思った。

◇ゲストの哀川翔さんは名前は知っている程度だったせいか、番組を見てもその人物像に余り共感は持てなかった。しかしある年代層では、知らず知らずに彼の人生そのものを肯定的に見る場合もあるだろう。こうしたバラエティー風の作りで青少年に入ってくれば、あらゆる善悪を超えて受けとめる、倫理観・道徳観というものを無くさせるようなものにもなりかねないと、その影響が気になった。

◇ゲストが突っ込まれたときにどう答えるか、生身の人間の発言に興味があったので、哀川さんの受け答えはそれなりに面白かった。以前見た大竹しのぶさんがゲストの回も、彼女の生き方そのものがわかって、非常に面白かった記憶がある。
クイズ番組としてはスリリングさに欠けるし、「人々がどう生きてきたか」を探るにしては、スタジオにあんなにたくさんの人たちがいるのに、その使い方がこなれていない。哀川さんの路上パフォーマンスなど、かつての映像を繋ぎ合わせて行く方法は、その人の足跡を辿る上で、作り物ではない面白さがあった。ゲストの個性によっては、毎回久本雅美さんら解答者側を変えていっても良いのではないか。

◇30分枠の頃は、久米さん当時のイメージが非常に強かったので馴染めなかったが、1時間枠になったことで味が出てきたと思う。但し、安住さんの人間味、例えば「おはよう!グッデイ」の「レシート拝見」で見せた飄々とした持ち味が上手く生きていない。
1時間になった分、スペシャルゲストに頼り切るところがある。最初の哀川さんの足跡をたどるビデオが長く、スタジオとやりとりがあっても良い。例えば中に幾つかコーナーを作りメリハリをつけるなどすれば、スペシャルゲストの別な側面を引き出すことが出来るのではないか。

◇「ぴったんこカン・カン」という割には、クイズが少ない。解答者の方にメリハリがなく、全体的に中途半端な印象。安住アナが、ビデオに入る前に、「面白い」とか「凄い」という形容詞を盛んに使うのだが、それが期待感に繋がってこない。もうもう少し言葉を選んで欲しい。
また、「テレビで哀川さんのチンピラ役を見て、その道に入った」という若者の声をコメントで紹介しのは適切ではなく、残念だった。

◇我慢して見たが、何を意図した番組なのかということが最後まで判らない。全般に言えることだが、「テレビ局は一体芸能人の番組ばかり放送する局になってしまったのか」という印象。テレビ全体がどこかおかしいのではないかという気がしてならない。イラク自衛隊派遣という深刻な事態を報じる一方で、こうした番組が出てくるという、このアンバランスが何とかならないのか思う。


番組審議会事務局