番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2004年1月19日(月)開催 / 第463回番組審議会より
「みのもんたのサタデーずばッと」について
05時45分〜07時30分

議題

報告事項
 放送表現ミスをなくすための指針について
審議事項
 1.1月10日(土)放送
「みのもんたのサタデーずばッと」について
 2.その他

出席者(敬称略)

委員長生田正輝 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音 好宏 篠塚英子 ねじめ正一 山藤章二 横澤彪 

局側出席者

 井上社長・若林常務取締役

 財津常務取締役・城所常務取締役

 児玉常務取締役・岡元報道局長・田代編成局長

 玉置編成考査局長・田澤番組審議会事務局長

 谷上プロデューサー

報告事項

◇玉置編成考査局長から、社内プロジェクトチームによりまとめられた「指針〜放送表現のミスをなくすために〜」の内容について説明があった。
これは、昨年11月2日放送の「サンデーモーニング」放送中に発生したスーパー誤記事故(第461回議事録参照)を契機に作成されたもので、「放送局を支える最も重大な柱は視聴者の信頼」という原点を見据え、誤報・誤字・誤用・誤読は番組という商品の瑕疵であり、場合によっては人権侵害や社会的責任を問われる事態を惹起しかねないことを社員一人一人が肝に銘じ、全社的に「ミス・ゼロ運動」を推進するとし、各現場での具体的対策を盛り込んでいる

◇「みのもんたのサタデーずばッと」
1月10日(土)午前5時45分〜7時30分

番組内容について

◇2002年4月放送開始。週末の土曜、「報道」「情報」の新たな切り口を求める高齢者を想定、月刊誌的深みと週刊誌的なバラエティーを兼ね備えた「ジャーナリスティック・エンターテイメント」を目指している。
司会は、当代の語り部みのもんた。コメンテーターとの応酬による「ずばッ」とした問題へのアプローチ、その週の注目ニュースの徹底的掘り下げ、話題の核心人物への直撃インタビューなど、TBS報道局の取材力とみのもんたの強烈な個性で、「いま」を縦横に斬って行く。

◇その週の出来事の振り返りは、テンポ良く仕上がって見易い。ただ、途中ニュースが入ったあとの新聞チェックコーナーが、屋上屋を重ねた感じで、平日との違いが出ていない。この種の番組は、コメンテーターのコメント、個性によって大きく左右されるのではないか。「年金問題」の田中章二氏は余りテレビ的ではなかったし、発言内容も判り難かった。岩見隆夫氏に限らず、毎日新聞出身の方が起用されることが多いが、「政治分析」より政治家バトルに偏った「政局分析」になってしまうのがいつも気になる。特にイラク・自衛隊問題などの時がそうだ。
その点、CX「めざましどようび」の江上剛氏(作家・元第一勧銀)のコメントは見事な「政治分析」になっていた。そうした仕掛けが欲しい。

◇初めに今日の「3つのテーマ」をみのさんが提示して、コメンテーターに訊いて行く。その訊き方、情報量の密度が5時・6時・7時とどんどん高くなっていくプロセスが面白い。
コメンテーターの役割が巧くいっていない。崔洋一・蓮舫・岩見隆夫の各氏に、テーマ分野の「役割分担」をさせる必要はなく、むしろ3人がどう答え、みのさんがどう思ったかということが正しい情報ではないか。例えばBSEの牛肉全面輸入禁止を取り上げたが、日本は騒ぎすぎではないか、果たして適当な措置なのか、専門家の意見が欲しく、それを受けてのレギュラーのコメントが聞きたかった。

◇私は、早起きだが朝は大体ラジオで、テレビもラジオで聴く。しかも「ながら視聴」。私のような視聴者は多いのではないか。TBSはラテ兼営なので、ラジオとの連動や、音声だけでも興味の持てる番組作りを御願いしたい。
週単位のニュースの続報・検証は大変有難い。ただ、政治・政局の問題については、「客観性」が非常に重要になる。「客観性」といっても、どうしても「主観的」になるだろうと思うが、意見が二分するような話は、対極の話もよく繋いだ形で放送する必要があるのではなかろうか。その点、10日・17日の放送ではバランスが非常に配慮されているという印象は持った。

◇この種の朝の情報番組は、大抵各局、同じネタを、同じような順番でやって、程の良いバランスで「一丁上がり」という作り。この番組が他局と一線を画しているのは、ひとえにみのさんの「程の良い下品さ」と脂っこさであり、彼を早朝へ持ってきたある種の「違和感」が、新鮮味を出している。
見ている側の魂、胸ぐらをつかむような、生き生きした感じ。「予定調和」を崩そうとしているみのさんの作戦が面白い。コメンテーターが「持ち場」を終えたと油断していると、パッとサッカーのパスを出す。コメンテーターの側に「身構えている感じ」があるのが良い。空気が割と冷えている早朝番組のスタジオの温度を急速に上げてしまう、みのさんの力量が大きい。

◇「みのさんは浮いている、馴染んでいない」という印象。むしろマッチングしない方が良いので、TBSのミクロ的に掘り下げていくオーソドックスな報道姿勢とみのさんの「ミスマッチのおかしさ」を楽しんだほうが、視聴者も良いのではないか。
今の視聴者は、「これを見てやろう」ではなく、ザッピングして自分にフィットするのに落ち着く「消極的な視聴態度」の人が多い。その中でこの番組は珍しく非妥協的な「パワー型の番組」。言い換えれば作り手側の「これなんだ」という姿勢が、視聴者の側からすると、親しみ難いのではないか。それが「古臭い」というイメージにも繋がるので、工夫が必要だ。アシスタントの堀井美香アナが成長しており、育てて頂きたい。

◇まだ寝床だが、仕事もないし、深いものを見てみたい「土曜日の朝」という条件が非常に考えられている。
視聴者側の関心事を訊いてくれるみのさんの姿勢が良い。「置いてきぼり」にならない。視聴者というのは、番組を通して一つくらい「そうだったのか」と目からウロコが落ちたいもので、下村健一さんのシャープさ、良い意味での生意気さとみのさんの「交流」がうまく行っている。
下村さんの報告を受けてみのさんが本当にひとつ勉強になった顔をして、それが見るこちらの体が前に向いていくような感じがある。みのさん位、コメンテーターに近づいていって訊く人もいない。コメンテーターの方も、何か大向うに言わなければという気持ちではなくて、どこかほぐされている。

◇やはり、みのさんというと「お昼」のイメージが強く、フリップの伏せてある字をめくる手法も、報道番組として疑問に思った。論旨に説得力があり、言葉にそれぞれの意味があれば、一々めくることもない。
BSE問題についても、「食生活を変えた方がいい」と言いながら、最後に「これから牛肉を食いに行くか」という話があると、冗談なのかという印象になる。「厚生年金未払」で、出演していた年金研究家の田中章二さんの本を紹介していたが、タイアップのように番組を制作するのは視聴して後味が良くない。あの場で言うことはなかった。

◇番組が目指すという「ジャーナリスティック・エンターテイメント」とは一体何だろう。その曖昧さが逆に報道と娯楽両方の性質を混ぜこぜにし、ワイドショーの悪い側面が出てきてしまうのではと危惧する。芸能人がキャスターになるのは、基本的に反対だ。ジャーナリストと芸能人ではトレーニングの基本が全然違う筈で、「TV局の人や新聞記者がもっとしっかりしろ」と言いたい。
客観的なニュースとオピニオンの峻別、「ニュースの中に意見を入れるな」というのは大原則だ。「テレビは違うんだ」と言うならそれまでだが、真面目に聞いていて茶化されたりすると落胆する。
イラク派遣の記者装備で「重い、大変だ」という苦労話が披露されたが、「時代が変わった」「戦争は遠くなったな」という思いを改めて強くした。


番組審議会事務局