番組審議会議事録

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番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2003年11月17日(月)開催 / 第461回番組審議会より
テレビ番組「超歴史スペクタクル2 古代ローマ夢と挑戦!!」
21時00分〜22時54分

議題

報告事項
 11月2日放送「サンデーモーニング」訂正放送の件
放送免許再交付に当たっての民間放送事業者に対する総務大臣要請の件
審議事項
 「超歴史スペクタクル2 古代ローマ夢と挑戦!!」
11月3日(月・祝)21時00分〜22時54分放送

出席者(敬称略)

委員長生田正輝 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音 好宏 篠塚英子 ねじめ正一 山藤章二 横澤彪 

局側出席者

 井上社長・若林常務取締役

 財津常務取締役・城所常務取締役

 児玉常務取締役・岡元報道局長・田代編成局長

 玉置編成考査局長・田澤番組審議会事務局長

 木脇総務局長

 小櫻TBSライブ社長

 戸田プロデューサー

報告事項

◇事務局より、11月2日放送の「サンデーモーニング」内での、石原東京都知事の「日韓併合」発言のスーパー誤記に関し、放送法第4条第2項に基づき、5日14時「ジャスト」内で訂正放送を実施した旨報告があった。 ついで委員が2日及び9日の「サンデーモーニング」、5日の訂正放送の番組ビデオを視聴、制作側から事実経緯の説明があった。 委員からは、「チェック体制の不備」の指摘とともに再発防止のための体制の整備、誤謬を発見した際は速やかに訂正謝罪するよう要望があった。 この質疑の模様は、11月30日(日)午前5時15分放送の「TBSレビュー」内で紹介した。

◇事務局より、11月2日放送の「サンデーモーニング」内での、石原東京都知事の「日韓併合」発言のスーパー誤記に関し、放送法第4条第2項に基づき、5日14時「ジャスト」内で訂正放送を実施した旨報告があった。 ついで委員が2日及び9日の「サンデーモーニング」、5日の訂正放送の番組ビデオを視聴、制作側から事実経緯の説明があった。 委員からは、「チェック体制の不備」の指摘とともに再発防止のための体制の整備、誤謬を発見した際は速やかに訂正謝罪するよう要望があった。 この質疑の模様は、11月30日(日)午前5時15分放送の「TBSレビュー」内で紹介した。

◇麻生太郎総務大臣名による、民間放送事業者宛ての「平成15年放送局の再免許に当たっての要請」について、事務局より内容を各委員に説明した。

◇「超歴史スペクタクル2 古代ローマ夢と挑戦!!」
11月3日(月・祝)21時00分〜22時54分

番組内容について

◇昨年11月放送され、好評を博した「古代エジプト夢と冒険!ピラミッドとは何か!?」の制作スタッフによる歴史エンタテインメント第2弾。
ベストセラー「ローマ人の物語」の著者・塩野七生と雨宮塔子を案内人に、「パックス・ロマーナ」の礎を築いた英雄ユリウス・カエサルの生涯を、「パクス(平和)」と「クレメンティア(寛容)」をキーワードに、再現ドラマ映像も交えて立体的に描いた。同時に、CGを駆使して、当時のローマ市民の日常と繁栄を再現。人類史上最大の世界国家・ローマから、混迷の21世紀を切り拓く鍵を探った。

◇カエサルのキーワード「他者との共感」から、現代社会を読み解くという手法が、強引すぎるというか、ご都合主義に思えた。カエサルの新しい政治手法の陰の、例えば奴隷制度の痛みなどがもっとあった筈で、それが伝わらない。
塩野七生さんの該博な知識が、かいつまむことで短絡化された。塩野さんの史観が「行ったり来たり」するプロセスを観たかった。「上澄みを掬っている」という印象。塩野さんは「英雄主義」史観だが、番組の終わり方はヒューマニズムで、塩野さんがこの番組をどう観たか知りたいと思った。

◇「ピラミッド」に続く二回目の作品としては、中々背筋がキチンと伸びた力作だと思う。現代日本の欠落した部分への警鐘という意気込みは伝わってきた。
ただ、今の若年層はデジタル世代というか、歴史に殆ど関心がない。塩野さんは素晴らしい方だが、高い位置から物事を「ぶっきらぼう」に話されるので、解説者としては絵解きというか「ほぐす」面がない。その点女性の支持が得られず、「男性的な番組」になった印象。内容的には「へえ」と驚く話がもう少しあっても良かった。

◇塩野さんの「多神教と一神教」の指摘が示唆に富み、思わず膝を打った。まさに今、キリスト教とイスラム教の対立が国際的大テーマになり、自衛隊のイラク派兵が焦点になっている時に、小泉首相がブッシュ大統領に「八百萬の神を信奉する日本人の宗教観としては、一神教同士の戦いに加担出来ません」と煙に巻いても良いのではと思わせた。

◇放送当日、TBS草創期の名作「マンモスタワー」をCSで観て、その「躍動感」に感動したあと、当該番組を観ると、「洗練されているな」という印象。

◇ローマ市民の生活など、微細に紹介されているのだが、例えばガリアでカエサルと対決したヴェルチン・ジェトリックスにより焦点を当てれば、塩野さんの「ヒーロー主義」とは相対的な「躍動感」が生まれたのではないか。
番組で挿入された海外のカエサル伝記ドラマについても、どういうものか番組で説明した方が親切だった。

◇CG映像技術が素晴らしい。前回の「さとうきび畑の唄」同様、教育の教材に最適だと思った。
但し、政治から文化、愛情まで盛り沢山のため焦点がぼやけたことと、登場人物の人間関係図、年表などがあれば判りやすかった。また、カエサルの功績を余りにも強調しすぎ、ローマ建国以来の歴史の中でカエサルが登場しなければならなかった背景の説得力が希薄だった。
塩野さんと雨宮さんの対談部分はやはり雨宮さんが押され気味で、切り返す場面が欲しかった。

◇こういう上質な番組は、少しでも多くの人に見て貰いたい。やはり今日の放送業界全体が、「視聴率至上主義」に余りにも走り過ぎているのではないか。
企業は社会的存在であり、経済界全体の中でCSR(コーポレート・ソーシャル・リスポンシビリティー)が強く評価されつつある時代であるだけに、業界の中で広告主を含めて「質というものを如何に評価するか」、そういう論議がもっとあってもいいのではなかろうか。
番組では、先程の一神教と多神教の問題が、現在の「グローバリズム」の持つ過剰な「一元化」の弊害を痛感していただけに、教えられる所が多かった。
先日の総選挙の低投票率とも思い合わせると、今の若年層に歴史への関心と社会への参画の意識が希薄になっていると思う。是非今回のような番組を若者に発信し続けていく努力を御願いしたい。

◇ありもののテレビ映画がドキュメントの中に入ってくると、普段は違和感を覚えていたのだが、前提がとても良く出来たので、意外とすんなりと入ることが出来た。テンポがある運びで、2時間という長さは感じなかった。
「カエサルが如何に魅力的か」を話す塩野さんからも、彼女の惚れ込み様が画面全体から伝わり、説得力があった。

◇「何故古代ローマ帝国がこれだけ繁栄したのか」というのを振りかざしたにしては、いろいろな要素が入り過ぎて、雑然としてしまった感が免れない。
政治学でいう「政体循環論」、君主政治が堕落すると独裁政治に、民主政治が堕落すると衆愚政治になる。その繰り返しの歴史の一コマかなという思いがした。
先程からの「多神教」は日本文化の大きな特徴。即ち寛容。しかしそれは裏を返すと「一つのものにコミットしない」あやふやさに通じ、例えばユダヤ民族が3000年の流浪を経て頑として生きている逞しさとの対比に通じる。
視聴率については、視聴質調査の研究が永年の懸案で、何とか「質」をキャッチできないか。スポンサーの方も、視聴率依存の傾向を是非御再考願いたい。

◇なお、「さとうきび畑の唄」については前回各委員より教育現場での活用が提案されたが、井上社長より、教育現場でも実際に視聴した例があり、生徒から感想のメールが寄せられている旨報告があった。

前回議事録要旨・二人目の委員の一連の発言中、「ショー芸人」とあるのは、「笑芸人」の誤りでした。バックナンバー上でも訂正します。


番組審議会事務局