番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2003年6月16日(月)開催 / 第458回番組審議会より
テレビ番組「ディスカバ!99」について
21時00分〜21時54分

出席者(敬称略)

委員長生田正輝 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 音 好宏 篠塚英子 ねじめ正一 山藤章二 

局側出席者

 井上社長・佐藤専務取締役

 財津常務取締役・城所常務取締役

 児玉取締役・岡元報道局長・田代編成局長

 田澤番審事務局長/編成考査局長

 石川TBSエンタテインメント制作本部長

 安田プロデューサー

番組内容について

◇芸能人なら誰でも「自分の新たな魅力を開拓したい」という思いを抱いている。自分の魅力が光る確固としたキャラクタ?の確立こそが大物芸人へと至る道なのである。『ディスカバ!99』は「自分のキャラクターを見つけたい」という野望を持っている芸能人を「ディスカバ!芸能人」と名付け、彼&彼女ら芸能人たちの「キャラ」を創る手助けをしようという番組である。これらを目標に「確固たる自分のキャラを見つけた芸能人にその経験を語ってもらう」・「適切なアドバイスをするために、"ディスカバ!芸能人"のことをよりよく知る」という2つを柱にして、ナインティナインのトークを交えながらスタジオとVTRで番組は展開していく。

◇長い日本の芸能史を振り返ってみると、その間、芸能史を貫いてきた価値基準はいわゆる芸であった。この50年の間にテレビ芸能という新たなジャンルが生まれ、そこにおける価値基準が芸にとってかわり、キャラクターというものになった。このキャラをメインテーマにした番組の企画自体はテレビ的で悪くは無いが、内容はやや安直な気がする。例えばタレントに今迄の自分のキャラとは正反対のキャラを与えてそれに挑戦してもらうとする。非常にルーズだと思われていた人が、実は几帳面だとか、ワルだと思っていた人がとても人柄がよかったとか、今迄その人の持っていたものとは全く異なった価値観が新たなキャラとして見つけられるとしたら、より番組の面白さに幅が出てくるのではないか。

◇視聴者はこの番組で、だまされることを楽しんでいるのかな、と思った。番組に出てくるタレントの日常生活のワンシーンやあまり知られていない部分というものは、実はある種演出されたところもあり、映像として流れている番組はひとつの商品として視聴者に見てもらっているのだと思う。そういったことも含めて、色々なことを承知した上で視聴者は楽しんでいるのではないか。一番の面白さはナイナイを含めて番組の持っている勢いであり、それが視聴者に直に伝わってきて1時間だまされて楽しむ、そんな印象を持った。

◇全体の番組の流れ、テンポが速く、司会の2人も非常にソフトで、面白い印象を持った。内容的には冒頭部分のイメージ調査結果からタレントのキャラを決めたり、平均値を出すのは少し無理があると思う。この番組はつくっている方では手の中で出演者を色々と踊らせているつもりかもしれないが、実際は誰がどんな風になり、どこまでが演出かがわからない様な興味深い仕組みになっていて、これは大変面白いと思った。今の時代、若者を効果的に啓蒙できる媒体はやはり映像であり、こういうバラエティを切り口にした自然な形の啓蒙番組もつくれるのではないか。

◇最近、学校関係の多くの会合に出る機会を持った為、やや先入観をもったままの視聴になり、非常に厳しい見方になったと思う。内容面では、タレントのキャラクターを扱うのであれば、表面的な部分だけでなく、より人間的な物を浮き彫りにしてもらいたい。その特色をクローズアップさせて、見ている若者が何らかの共感を覚えるような物を、番組の中に自然な形で入れ込んでほしい。タレント達が出会う番組での様々な人間的触れ合い。その触れ合いを通じて、生きる力が見る側に自然と伝わってくる様な内容を目指してもらいたい。

◇この番組はゲストによって雰囲気が全くかわってくると思う。出演されるゲスト同志で知らない方などもいらして、お互いアドバイスができるような雰囲気が自然と出てくるのが良かった。記者の存在も非常に大事。記者とゲストとの触れ合いがとても暖かな感じが伝わってきて良かった。今後はゲストの良さを記者の方が引き出す、というような方向で番組を作っていくとまた違う番組の深みといったものが出てくるのではないか。

◇バラエティ番組はただ楽しく面白さがいっぱいで、それはそれで良い面もあると思うが、正直なところ、何か軽いなという感想を持ってしまうことは否めない。制作する方達には、その楽しさの中にも、何か作る側から視聴者への新たなメッセージをこめた番組作りを目指してもらいたい。


番組審議会事務局