番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2002年11月18日(月)開催 / 第451回番組審議会より
テレビ番組『古代エジプト夢と冒険 ピラミッドとは何か!?』
21時00分〜22時54分

議題

(1)報告事項
 訂正放送について
(2)審議事項
 

出席者(敬称略)

委員長生田正輝 
副委員長沼田早苗 
委員長部日出雄 音好宏 篠塚英子 ねじめ正一 服部克久 山藤章二 横澤 彪 (池田委員欠席、山藤委員欠席) 

局側出席者

 井上社長・佐藤専務取締役

 伊藤常務取締役・財津常務取締役

 城所常務取締役・近藤編成局長・平本報道局長

 田澤番審事務局長/編成考査局長

 小櫻TBSライブ社長

 戸田TBSライブプロデューサー

番組内容について

◇この番組は「ピラミッドは何のために作られたのか?」「ピラミッドはどのように作られたのか?」という2点をメインテーマに、視聴者を時空を超えた古代エジプトへの旅に案内してくれる。最新のコンピューター・グラフィックスと大掛かりな再現ドラマによるリアリティーあふれる映像により、最新学説を紹介しながら視聴者に古代エジプトを実感してもらう『超歴史スペクタクル』番組である。

◇森本さんのナレーションは見ている側の集中力を増して、引っ張ってくれる感じで、番組全体的には説得力もあり、たいへん面白かった。雨宮さんについては、古代というロマンに彼女が初めて立ち会った時の、真っ白な部分、思いをだしてほしかった。何か最初から段取り通り進み、きちんとしすぎたような気がする。間違えても良いから、彼女にもっといろいろ質問をしてもらい、多くコメントしてもらいたかったし、間違いに対して吉村さんがフォローする楽しさのような工夫が欲しかった。

◇今の視聴者の求めている本物志向、ちゃんとしたものを見たい、という部分にまさにジャストミートしていたといえる。番組の事前PR作戦の勝利、そして3連休の最終日放送という編成は大成功だったと思う。ナレーションも若々しくテンポもあり、CGも素晴らしい出来ばえだった。番組全体に何か暖かさがあり、脱NHKを狙った番組作りが良い結果になったといえる。

◇ピラミッドは太陽信仰に基づく夢の建造物であり、王の墓ではなく、また、その労働に従事したものも奴隷ではないという説には説得力があり、たいへん共感できた。BBCの再現映像の中にはピラミッド建設時での見物人の部分が欠落していた。ピラミッド建設で働く人々はまわりの多くの人々に「見られている」ことによって、困難なこと、危険なことに対してより大きな力を発揮できたはずで、見物人の不在はおかしい。見物と同時に参詣に来るわけで、毎日がお祭りみたいなものだったと思う。また、ピラミッド建造にかかわる多くのことが、エジプトの人々の精神生活に与えた様々な影響についても触れてほしかった。それとBBCとの共同製作について、そのことに対する番組内でのリスペクトの示し方が足らなかったのではないか。共同製作である以上はきちんとした明示は必要なことだ。

◇番組としては個人的な興味もあり、面白いエンターテインメントだと思う。ただ、吉村氏の学説の国際的評価を番組内でもっとはっきりだしたほうがよかったのではないか。これからは良い意味でのオタク的な番組をどんどん作ってもらいたい。

◇とても夢のある番組で面白く自分の勉強にもなった。間に入るCMも番組の邪魔にならずにマッチしていてよかった。リポーターの雨宮さんの位置付けは何かしっくりこなかった。つまり、吉村さんに対してどんどん切りこんだ質問をしたり、逆に何か言われて間違えても良いから答えるくらいの発想が欲しかった。

◇見る側が吉村さんの意見のどこまでを吉村氏学説として評価すべきなのか、わかりにくかった。そこを丁寧につくらないとその場限りのエンターテインメントになってしまう危険性がある。雨宮さんにはフランスに留学している、という視点からの切り口がほしかったのと、彼女ならではのある種の生活感覚のようなものを出したほうが面白かったと思う。

◇TBSのCGの技術がたいへん素晴らしく、より理解が深まった。全体的に壮大で、ピラミッド建設が農民を救うための公共事業だったという説も、説得力があり楽しくみることができた。

◇吉村学説が客観的にどのような評価をうけているのか疑問。学説は面白いのだが、番組内での立証が不足しているように思う。エンターテインメントとして見ている限りでは面白くみさせてもらった。


番組審議会事務局