番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2002年10月21日(月)開催 / 第450回番組審議会より
テレビ番組『アジア大会2002釜山』「女子マラソン」(生)
08時50分〜11時44分

出席者(敬称略)

委員長生田正輝 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 長部日出雄 音好宏 篠塚英子 ねじめ正一 山藤章二 横澤 彪 (服部委員欠席) 

局側出席者

 井上社長・佐藤専務取締役

 伊藤常務取締役・財津常務取締役

 城所常務取締役・近藤編成局長・平本報道局長

 田澤番審事務局長/編成考査局長

 石川TBSスポーツ取締役・制作本部長

 木村TBSスポーツ・プロデューサー

◇マラソンというスポーツはある意味で神経戦であり、微妙なかけひきもあり、その部分を語ってくれる、例えば宗監督のような方が、解説者として欲しい。長い距離の中での、見る側にとってスリリングな部分を解説者が補ってくれて、間でつなげてくれる人がもう一人いると、より実況に膨らみがでると思う。釜山の風景は、知らない風景が眼に飛び込んでくるという緊張感にマラソンレースの緊張感も増してきて、映像的にはたいへんひきつけられた。

◇スポーツイベントへのTBSとしての積極的な取組み姿勢は評価できる。実況は中継全体の満足感がもうひとつ得られなかった。選手数も少なく、沿道も寂しい様子で何かスカスカ感があった。アナウンサーに関して、これからは専門的な分野での若い戦力の育成が必要だと思う。

◇他の国際マラソンと比べて、華やかさ、体温のようなものが薄かったようで、絵的に寂しく残念だった。(抜かれた時に)弘山選手を後ろからとった映像は、背番号越しに、抜いた選手の背番号と両方見え、その距離感と縦の線がたいへん斬新だったし、また、弘山選手の息をマイクで見事に拾っていたこと、これらの映像と音と2つ新鮮な体験だった。

◇スポーツ中継はテレビ番組の重要な柱の一つで、これからは取材力があり、自分の言葉でスポーツを語れる(例えば作家の沢木耕太郎さんの様な)魅力的なスポーツキャスターのスターをつくるべきだろう。今回のレースは記録はよくなかったが、記憶に残るレースだった。弘山選手のあの呼吸音は負けて追いつこうとしている人の音で、その執念と苦悩ぶりが伝わってきて、この映像と音響は一生の記憶に残ると思う。

◇松下アナの実況は絶叫調でなく、落ち着いた感じでよかった。ただ声だけ聞いているとゴルフのイメージが多少ついてきてしまう感じがした。浅利さんの解説は、しゃべりがモゴモゴして何を言いたいのかよくわからない部分があり残念だった。長嶋さんの起用は長嶋さんらしさを狙ったと思うが、マラソンが原因だったのか、いつもの彼らしさがなかった。(番組の中で)釜山の町の魅力、面白さをもっと前面に出してもよかったと思う。

◇初めから日本人選手のことを多く取り上げすぎる。もう少しバランス感覚が欲しい。私自身初めて2時間以上テレビの前に座って観たが、眼から入ってくる情報と耳からの情報とを有効に使う為には語り手の選び方が大事だと思う。弘山選手の呼吸音をマイクで捉えたのは画期的だと思うが、いったいどんな方法でできたのかを知りたい。

(TBSスポーツ木村プロデューサー)スクーターにカメラマンをつけ、カメラに付けた高性能ガンマイクでかなりの至近距離で、選手の横、背後から良いポジションについて音を拾うことができた。

◇東日本実業団陸上競技連盟会長として、この様な形で陸上全般にわたって積極的に紹介してもらうことに、感謝したい。スポーツ全般でいえば、個人の能力をフルに発揮できるスポーツ、そのなかで個人の才能、能力にいろいろな角度からスポットを当ててもらいたい。

◇今回TBSとNHK、両方の放送を見て実況中継の難しさを感じた。実況では緊張感は伝わるが、スタジオと外の音声のバランスがあまりよくなかった。録画(NHK)では音声の面で落ち着いたバランスのよい出来あがりだったといえる。

◇今回は解説者のキャスティングがあまりよくなかったのではと思う。シカゴマラソン等と比べてアジア大会そのものが低調な感じがする。全体として物足らなさが印象に残った。スポーツは多岐に別れているので、専門分野でのスポーツ解説のきちんとした専門家が必要だろう。日本と違った状況での映像をつくるのは非常に難しいし、国際映像というのも一長一短あり、難しいこともわかるが、放送全体にもっとアクセントがほしかった。


番組審議会事務局