番組審議会議事録

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番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2002年4月22日(月)開催 / 第446回番組審議会より
メディア規制関連3法案

出席者(敬称略)

委員長生田正輝 
副委員長沼田早苗 
委員池田守男 長部日出雄 音好宏 篠塚英子 ねじめ正一 服部克久 山藤章二 横澤 彪 

局側出席者

 砂原社長・佐藤専務取締役・若林常務取締役

 伊藤常務取締役・財津常務取締役・近藤編成局長

 平本報道局長・田澤番組審議会事務局長・編成考査局長

 羽生報道局編集主幹

◇メディア規制3法案について、基本的には上からの押しつけは反対。マスメディアは、自己規制を今までやってきたが、一般国民が、マスメディアがそういうことに努力していることをはたして知っているのだろうか。そういったことは、国民は知っていないと、やはり規制しなければいけないという声が出てくるのは当然だと思う。
メディア規制3法は国民の利益を基本的に損ねるのだ、皆さんが損をするのだということをメディア側がもっとわかりやすく宣伝し報告することが必要。

◇個人情報について、かつて田中金脈を立花隆が「文藝春秋」に発表し、大反響を呼んだ。大手の新聞記者が、自分たちはとっくに知っていてあえて、書かなかったことが、世論から叩かれたという歴史があった。つまり、知っていて書かないという最悪のジャーナリズムが、長い間存在していた。基本的には、相変わらず特ダネを物にするときは、フリージャーナリストの力だということが続いている。彼らの取材に関して、取材される側は、うっとうしい、迷惑だ、下品だという拒否の姿勢をとるが、そのゲリラ的取材方法がないと、迫真のものはできない。それに対する規制でもあると思う。拡大解釈されていくと、似顔絵というのも対象になるのではないか。(笑)
法規制というのは、取り締まる側の拡大解釈により、悪い方に発展をすることもあり、今のうちに抵抗しておかないといけないと思う。

◇基本的には、規制法案というのは、反対していかなければいけないものだろう。しかし、この法案が出てきた原因は、いつの間にかテレビメディアというものが途方もない権力を持ってきた結果、それに対して国家権力が、ややジェラシーを持っているんじゃないかという気がする。個人的には、レポーターがあるお宅の玄関のベルを鳴らして、取材をし、マイクを突きつけるような場面が最もテレビ的なシーンだと思うが、そこにはおのずとメディア側のマナー、良識が必要だ。テレビ側が、自分たちが物すごい影響力を持っている存在なのだということを、企業全体で再確認して、それを視聴者に理解してもらえるように、どのように改善していくかということが急務であると思うし、やはり自信を持って、テレビの良識というものをもう一回打ち出していく必要があるのではないか。

◇主として、3つの点で反対。第1は、過剰取材、このひどさは多くの人が感じていたと思うが、表現の自由とか民主主義、社会の根幹にかかわる問題を、行政に任せることは絶対にできない。第2は、人権委員会というのは、いかにも中立を装っているが、これが法務省の外局で、予算的にも、事務局の人事構成からしても共通していて、今の行政改革とか構造改革とか予算の削減とかに全く逆行する方向に行っている点が疑問だ。第3の点、これはメディアにとどまる問題ではないということで、取材される側が、この法律ができると、臭い物にはふた、非常に息苦しい、窮屈な社会になると思う。以上、3つの理由で、できるだけ廃案になるような世論が生まれることを期待している。

◇20世紀から21世紀に移るということは社会全体、価値観が非常に大きく変わりつつあり、これまでの基準、規制というものをもう一度見直さざるを得ないような状況になってきているのではないか。私自身が聖域なき経営改革を行おうということで、すべての見直しを図っており、放送界も、視聴者の方々の視点で、見直していく必要があるのではないだろうか。新しい時代を迎えるにあたり、もう一度それぞれが原点に返り、そこから出発すべきだと思う。また、当然規制というものは、最低限にすべきであろうと思いますが、多少濃淡をつける必要があるだろうし、その濃淡というのは、自主規制だろう。

◇個人情報保護法と人権擁護法のところで、メディア規制の部分を外すことに賛成した上での意見を述べたい。過去の審議会では、言論の自由に関しての議論は余りなされなかったという印象を受けた。この番組審議会というのは、やはり規制がされないとか、自由が守られているかどうかという基本的な日本の制度の枠組みを絶えず議論していかなくてはならないのではないか。それがこれまで余り議論されなかったということは、残念である。今回のような3法案が出る背景は既にあったはずで、それをメディアに関係している人たちは何も知らなかったというのはおかしい。青少年有害社会環境基本法案は、海外では児童ではない青少年について、青少年の生き方を訓示するような法律をつくっているところはないようで、これについては反対である。ただ、反対だというのにはあまりにもきちんとした議論がまだなされていないし、息長く議論をしつつ、引き延ばしていただきたい。

◇今の日本のマスメディアというものが、視聴者の側からすると、自分達の権益を守り、それにかかわる発言をしているのではないかという不信感がある。今回、メディア規制というよりは、言論表現の規制だと言った方がよかった。日本のマスメディアはこれらの問題について反応が遅かったのではないか。言論表現の自由、担い手であるマスメディアの側が、自分たちのある種の危機感を持つ必要があり、自分たちが担っている言論の自由というところをもう一度考えるべきだ。また我々は社会的責任を非常に負っているのだということを再認識し、自立性、自浄能力という部分での公共的な責任を周知徹底して努力していただくとともに視聴者側への自分達のPRも必要。

◇(メディア規制3法については)廃案というところまでは、ここまで来てしまって難しいのだろうか。法案は時間がたってくると、規制が厳しくなってきて、最初は弱者を守るための法律だったのが、規制が強くなるという可能性が大きくなってくると思うので、基本的には反対。確かにマスコミから弱者の方を守るということは大切だが、メディア側も自主規制をしていますので、この表現の自由はぜひ守っていきたいし、今の行政側の方々に規制されるというのは基本的には反対。

◇問題は2つあり、1つは、メディア3法が出される背景というか、なぜ今これが必要なのかということ。何か美名に隠れて、本音がそこにちらついているような気がしてならない。もう1つ、古典的な言論の自由というのは、メディアと国民とは一体だったが、今は違う。権力とメディアと国民の3極構造で物を考えていかなければいけない。メディアが横暴だと、権力側は、手を出したくなるもので、これを防ぐための防波堤は自主規制しかない。メディア側もBRO他かなり努力をしてきているが、まだ成果は具体的にあらわれてない。国民に対してPRの必要がある。メディア側も反省をし、現実に目に見える成果を上げていかなければないけない段階に来ている。そういう状況を踏まえて3つの法案自体に反対。


番組審議会事務局