番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2001年9月17日(月)開催 / 第439回番組審議会より
TBS創立50周年記念テレビ番組『明るいほうへ明るいほうへ?童謡詩人金子みすゞ』
21時00分〜23時24分

出席者(敬称略)

委員長内田健三 
副委員長沼田早苗 
委員生田正輝 伊藤宏 猪口孝 兼高かおる 瀧大作 竹内宏 古橋廣之進 山藤章二 (秋山・ねじめ・服部委員欠席) 

局側出席者

 砂原社長・井上副社長・佐藤専務取締役・若林常務取締役

 財津常務取締役・清水上席執行役員・前川上席執行役員

 近藤編成局長・平本報道局長・田澤番審事務局長・編成考査局長

 清弘プロデューサー

番組内容について

◇大正時代の終わりに彗星のように登場して、26歳の短い人生を自ら閉じた童謡詩人・金子みすゞ。小学校の教科書にも登場している金子みすゞの詩や生き方には、最近、多くの注目が集まっています。
このドラマでは、その余りにも儚い人生を、17歳から26歳までに焦点をあてて描いていきます。娘から女、妻、母親となる過程は、世間から見れば決して恵まれた人生を歩んだわけではありません。親友の死、夫の失業、貧困、病気など、次々と降りかかる困難を乗り越えて,ひたすら詩をつくることで明るく前向きに生きた女性、金子みすゞの真摯な姿が感動を呼びます。
主役のみすゞを演じるのは、松たか子。

◇若いうちはすごく伸び伸びと育って、挿入されている詩もとても素直でほのぼのとして大変いい感じだったのですが、最後、自分の手で人生を終わらせなければならないというのが大変切ない感じがいたしました。松さんもなかなか熱演で、ずっと出っぱなし。とてもきれいだし、先が楽しみな女優さんだなということで、大変よかったと思います。

◇全体的に見まして、今思い出しても、金子みすゞの詩というか歌というのは、あまり私の印象には残っていないのです。ストーリーなり、そちらの方のウエートで私は引きつけられたという感じです。

◇夫婦別姓とか親権とか、民法の基礎的な考え方が、今の社会に調和しにくいところもあると考えさせるので、意外と現代的な番組だったという感じがします。あと、詩についてですけれども、番組では、画面にスーパーされるだけだったが、感じを込めた朗読が番組の中にもっとあったらよかったかなと思いました。

◇金子みすゞというすばらしいキャラクターを、それに頼っちゃって、凡庸につくっちゃうと、それだけが妙に浮き出るような番組になるところを、さすがにそうじゃなくて、金子みすゞを描きながら、金子みすゞの後ろにある時代なり、あの当時の家長の横暴さなり、いろいろなものを含めて男と女の問題とか、金子みすゞ以上のものを出しているなという感じがいたしました。それから音楽がないと言ったぐらい、音楽がすばらしかったと思います。いつもああいうのはうるさくてしようがないのです。

◇見終わった後の読後感みたいなもので言うと、水彩画を連想いたしました。サラリと明るくて、それはそれなりに1つのトーンが貫かれているなと思いました。仮に、同じモチーフでも、使う画材によって仕上がりは全部違いまして、油絵の具を使うと、もうちょっと重厚感が出るでしょうし、エッチングみたいな彫りでやれば、もうちょっとシャープなドラマになる。あるいは鉛筆とか木炭のデッサンでやると、社会派リアリズムの感じが出る。今回はとても水彩画、パステル画と言いますか、金子みすゞの詩がまずあって、それに魅入られておつくりになったという感じが、こちらにもとてもよく伝わってまいりました。

◇今回のこのドラマを見ていて、非常に丁寧につくってあるなという感じがいたします。まず昭和初期の時代を実によく表現していると思ったのは、着物一つにしても、矢がすりのものを着てやっておりました。そんなことで非常に丁寧に当時を描こうとしているということが伝わってきた。それから戦前の日本人の心といいますか、心のありようみたいなものを我々によく知らせてくれたという感じがいたします。

◇久しぶりにすっきりして、すがすがしい、いい番組でございました。楽しいときから苦労していくという時代を上手にまとめている。役者がみんないい。ただ、西条八十さんに、駅に会いに行くときの松たか子さんが、髪の毛をバサッとしている。あれはやり過ぎだと思います。いかにも生活が大変だというのを見せようとする演出がオーバーかなという気がいたしました。

◇私も大変いい番組だと思いました。この内容は民法というか社会学を非常に典型的に、リアルに描かれている。ただ、あのころは子供がもっと汚いです。店の中ももっと汚いし、鼻で手がピカピカに光っていたはずです。描かれている内容は極めてリアリスティックなのですけれども、あんなものは実際にはないという感じがいたしました。あんなきれいな子供はいないですよ。

◇この50周年記念、記念番組として非常に力作であったという感じがいたします。ちょうど大正から昭和にかけての時代を、我がことのように、いろいろな面で拝見させていただきました。特に、日本の女性、あるいはそれぞれの背景、社会情勢というものがいろいろなじみ深いと申しますか、一々が理解できるような番組だった。画面に幾つか詩が出ておりましたが、なかなかよく読めない。もうちょっと鮮明で、読めるようであってほしいなというのが注文です。

◇私は文弱の徒でありまして、金子みすゞの詩は随分と読んでおりましたが、「明るいほうへ明るいほうへ」というドラマにしては、ちょっと暗過ぎる。それを意識して題にされたのかなという感じがして、結局は納得はしたのです。また彼女の詩がバックに流れ、それがよく見えないという話がありましたが、あれはわざと見えない、バックのものとして使われたのかなという気がいたします。

■番組以外の諮問・審議事項
1.TBSラジオ&コミュニケーションズ、ラジオ放送免許承継の件
2.ラジオ、テレビの10月編成について
3.局側出席者変更の件


番組審議会事務局