番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


2001年5月21日(月)開催 / 第437回番組審議会より
テレビ番組『TBS50周年特別企画「地雷ZERO 21世紀最初の祈り」』
21時00分〜23時24分

出席者(敬称略)

委員長内田健三 
副委員長沼田早苗 
委員生田正輝 伊藤宏 猪口孝 瀧大作 竹内宏 ねじめ正一 服部克久 古橋廣之進 山藤章二 (秋山委員、兼高委員欠席) 

局側出席者

 志甫会長・砂原社長・井上専務取締役・鴨下常務取締役・佐藤常務取締役

 清水取締役ラジオ局局長・伊藤取締役テレビ編成局長・前川取締役ラジオ局長

 平本報道局長・田澤番組審議会事務局長(編成考査局長)

 鈴木プロデューサー

番組内容について

◇TBS創立50周年の企画として、世界の地雷集中地域に多数散らばる地雷を除 去する地雷ZEROキャンペーンに取組み、番組化した。日本人には身近でない地雷 という素材に、はたして視聴者が反応してくれるのか、クライマックスには、世界同 時生中継でキャンペーンソングを歌うという壮大なイベントを構えたので、まったく ジャンルの違う報道番組と、音楽番組を融合させる試みが成功するのか、大きな試み だった。幸い、準備に一年半をかけ、坂本龍一氏とも充分話し合った甲斐があり、番 組は大きな反響を得て、スタッフも、テレビと社会とのつながりを再確認することが できた。今後は、これを生かし、息の長い活動のスタートとしたい。今回の活動につ いては、無償で協力してくれた出演者やスタッフ、スポンサー、ボランティアのため にも、逐次結果を検証し、報告する。

◇面白かったが、坂本龍一氏がいわば主役なので、彼の音楽の映画「ラストエンペ ラー」のイメージが付いてまわって、もの悲しい感じがあったが、50周年企画としては名分といい、芸術性といい、よかった。本当に寄付をしたくなったということ は、それだけ訴えたということだろう。

◇番組としてはすばらしかったが、現地で地雷を掘っている人たちはどういう人たち なのか、どういう報酬の下に作業に携わっているのかとか、除去作業というのは、実際効果をあげているのか、など、現地の人たちの生活も含め、現実的なことが気になるので、触れてほしかった。

◇面白く見ました。報道局が音楽番組を作ったということは、非常にすばらしいので すが、音楽に関しては、もう少し勉強して、いただきたいと思いました。
世界のいろいろな国の人がそれぞれ自国語で熱唱したわけだが、その歌詞の意味が こちらに伝わってこなかったので、ただ外国人が参加しているなという程度にしか伝 わらなかった。あれが、もし意味があるならば、それが集約されて最後の曲になって いって、みんなが感動していくというふうにつながっただろう。

◇報道の番組としては、坂本龍一氏の音楽を含めて、少し情緒的に流れすぎた。泣け るには泣けたが、それがよいことか。また、プロデューサーが番組のテーマとして、「善意」という言葉を言ったが、違うのではないか。むしろ怒りではないか。CDを 買って、寄付するうというのは、人間の愚かさに対する怒りであって、善意なんて 甘ったるいものではないと思う。もっともっと怒りを触発してほしかったが、それを 情緒が邪魔してしまった。

◇(番組を見たときの生々しいメモ抄)
○坂本龍一は、黒澤以後、空席だった、世界に通用するアーティストの座に座れそう だ。もうひとりたけしがいるが、彼はその席につくにはシャイで、むしろ彼自身が地雷みたいな存在でありたいだろう。(笑)。
○ダイアナ妃は、世界平和に貢献したのに、死に際が不倫だ、パパラッチだと通俗的 なイメージに包まれてしまった。人間、死に際が肝心だ。(笑)。
○米国は妙な国だ。地雷禁止条約に署名せず、京都議定書にも反対した。何を考えて いるのだろう。
○TBSは、とてもいい番組を作った。満塁ホームランです。そのため、ほかのつま らぬ凡打は、しばらくは帳消しになるでしょう。(笑)。短いバージョンを作って子供たちに学校で見せてあげたい。

◇チャリティ番組として、テーマが"地雷ゼロ"と具体的で、判り易いので、出演者 の涙も違和感無く、受け入れられた。悪いと言われる地雷を埋めた人たちの言い分とか、埋めざるを得ない事情についても、もっと詳しく触れてほしかった。

◇地雷というのは、日本にいてはピンとこないが、一歩外に出て、カンボジアあたり を旅すると、いたるところに体の一部を吹き飛ばされた人がいて、地雷の存在を肌で 感ずる。したがって、今回のようなキャンペーンの意味がよく理解できる。よく勇気 を持ってこれだけのものをやったと思う。

◇番組の中で、女性リポーターが、「刹那的にしてあげたいと思うのではなく、建設的に何ができるか」が問題、ということをコメントしていたが、やはりある程度持続的に、このイベント限りで終わらずに、持続的に支援できるということが続けば、TBSとしての一つの意義もあるのではないか。

◇世界的に認められている坂本龍一氏がCDを制作したということで、どんな曲に仕上がってくるのか2時間半、楽しみに見られ、最後は感動した。日本にも地雷があるとの事だが、その問題を掘り下げてもらったら、身近な事として、捉えられたのではないか。

◇21世紀の幕開けに、また、開局50周年に相応しい企画だった。これからも、芸 能番組と併せて、こうした番組も放送することを期待したい。

◇募金の使途はどうなるのか。お金の行方は、不正がないようにしっかり監視しても らいたい。また、使いようによっては、紛争の一方に加担することになり、注意を要 すると思う。

◇(番組プロデューサー)今回は、地雷除去の最前線でやっているNGOと除去 計画・実施に関して、計画書を出させ、除去作業後には、必ず報告書を提出するという契約を結ぶということで、各方面の協力者にも信頼してもらった。報告書は、番組 やインターネットを通じて公開し、チェックしてゆく態勢を作っている。


番組審議会事務局