番組審議会議事録

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2001年1月15日(月)開催 / 第433回番組審議会より
テレビ番組『JNN近未来スペシャル 関口宏のびっくり仰天!未来生活』
14時00分〜15時54分

出席者(敬称略)

委員長秋山ちえ子 
副委員長内田健三 
委員生田正輝 伊藤宏 猪口孝 兼高かおる 瀧大作 沼田早苗 ねじめ正一 服部克久 山藤章二 

◇このような番組が、小中学校の授業に導入されるといいなと思うくらい想像力を掻き立てられる良い番組だった。今は、教科書も、想像力をかき立てるオーディオ・ビジュアル的な要素を入れたものでないとだめだ。TBSに教科書までつくれとは言わないが、義務教育の教科書にこういう夢のある番組的要素があったらいいなと興味深く拝見した。

◇<プロデューサー>実は、多くの教育現場の先生方、教育委員会からも、非常にいい反応があった。子供たちにも見てもらって嬉しかった。

◇CGで未来の生活を見せてもらって、最初はちょっと夢のような話かなと思ったが、最先端の技術を見せられると、これも夢ではないなと思い直した。50年先というのが、そう遠くない未来なので、とても説得力があって、お正月に家族で楽しむのには大変いい番組だ。東京だけではなくて、JNNの若いエネルギーを集めて、何か1つの番組をつくるというのは、大変すばらしいことだと思う。

◇専門家でもないテレビタレントが多数ワーワーガヤガヤ感覚的な話だけやっており、物足りなかった。未来を予測するということは、雑誌でも新聞でも、やっている。テーマは、衣食住にわたって非常に盛りだくさんだが、1,000メートルのビルにしても宇宙からの太陽発電にしてもほとんど、もう手がついている。本当の意味で新しい何かが出てくるかという話は、余りなかった。また、民族と宗教とか犯罪や戦争といったものは、科学技術とのせめぎ合いでどうなっていくのだろうか、気になった。もうちょっと人文科学の方に焦点を向ける必要があるのではないだろうか。

◇クローン人間とかいろいろなものが出てくると倫理的な問題や人間関係とか、いろいろなことが、どういうことになるのだろうと思ったら、なかなか興奮がとれず、胸がドキドキしてしまった。私にはとても刺激的過ぎる。何か1つ安らげる救いが欲しかった。

◇おとそ気分で見る正月番組だから、そんなにシビアに問題を糾弾したりしなくてもいい。しかし、もう少し、隠し味で、ネガティブな陰の部分を全体の20%ぐらいどこかに忍び込ませると、より立体的になると思う。例えば、地球環境が非常に劣悪になるとか、人口増加による食糧難問題、温暖化で砂漠化するとか、数え切れないほどの地球に対する不安というのをみんな抱えている。私は未来に不安を感じるネガティブ人間、人間の幸福は、試験管ベビーでなく、やはり恋をして子供をつくることだという最後の話には、救われた。

◇非常にファミリー的で、楽しかったが、後で、こんなに便利になってしまっていいのだろうかという気になってしまった。50年後は、高層ビルで生活し、1日中外に出ないという話だが、人間のコミュニケーションはどうなっていくのだろう。人間の立場や信念みたいなものが、気になってしまった。未来は不便であるという部分も少しあっていいのでは。

◇気になる部分もあったが、単なる空想だけでなく、結構、実現できるような先端技術を、活字でなく、テレビで見せてくれて、とても楽しかった。日本の大学には、色々なものを一生懸命研究している素晴らしい若い人たちがいることがわかり、頼もしいと思った。若い研究者が自分たちの夢を持ってガンバッテいることは、余り知られてないし、日本の将来に希望が持てる話なので、もっと取り上げて欲しい。

◇ここ10年、あのように明るい希望に満ちた楽しい番組はみたことがなかった。描かれている生活は、子供の時に読んだ『少年倶楽部』などの夢一杯の物語のようだったが、50年先でなく、意外と、もう20年先には、もっと煮詰まっているだろう。自分も、もしかしたら、間に合うかなという希望がある。あの後、8日の成人式の騒ぎとか、一家4人殺しの事件もあり、人類に対する失望感というか、番組と現実の落差はすごく感じた。しかし、落差は他の番組やニュースを見ても感じられるわけで、何も番組の中でわざわざメッセージを出す必要はないと思う。明るく、あまりいい言葉ではないが能天気に、人類の未来はこんなに夢があるぞというという番組が1つぐらいあっていいと思う。


番組審議会事務局