このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。
2000年6月19日(月)開催 / 第429回番組審議会より
テレビ番組 2000年ドラマスペシャル『百年の物語』 第1話〈愛と憎しみの嵐〉
21時00分〜23時24分
委員長 | 秋山ちえ子 |
副委員長 | 内田健三 |
委員 | 生田正輝 伊藤宏 猪口孝 兼高かおる 瀧大作 竹内宏 沼田早苗 服部克久 山藤章二 |
◇2000年ドラマスペシャル『百年の物語』は、視聴率も高くて(第1話29.2%、第2話27%、第3話32.6%)おめでとうございます。私は、あのドラマの出来事をみんな知っている世代、すごい差別社会の封建的な貧富の差も極端な時代でああいうことが当然だった。そのために女性の地位向上とかを一生懸命やった。何かいろいろ感慨深く見た。
◇<担当プロデューサー>主人公が生きていれば100歳という設定で企画したが、当初、これほどの反響があるとは想像していなかった。「母が、祖母が、懸命に生きたから、今自分がいる」との若い方の感想が一番嬉しかった。
◇3日連続のこの企画、最初は長く感じたが、ちょうどゆっくりできる時間帯だし、1本見ると、2本、3本と続けて見たくなる心理をうまく突いており、結局、2時間半の3本全部見てしまった。松嶋菜々子さんを3本とも使ったということで、一段と時代の変化が見えてきた気がする。それぞれ、一作一作、雰囲気が違っていて良かったと思う。
◇松嶋さんだけでなく夫役の山口祐一郎も、絵描きの原田龍二もよかった。
◇私の母は103歳で大変元気にやっているし、自分自身も女性ばかりの環境で育ったし、甚だ身近に感じて、他人事とは思えない。娘のこと、嫁のこと、姑のこと、地主と小作人、第一次大戦後のバブル、成金屋、失敗した人、あのドラマは、いろいろなことを1つに並べ上げた女性史だ。肉弾三勇士の話まで出て来てドキッとしたが、不自由のように見える20世紀の前半と、自由になった20世紀の後半、さて21世紀の自由というのはどうなっていくか、もう一度見直そうというテーマが、「百年の物語」の中に隠れている感じがする。
◇私も、非常に感激した。歴史というと、暗殺があったとか、軍隊その他の話ばかりで、「百年の物語」のようなフィクションで、始めて個人の歴史が描かれている。やはり日本の近代史というのは、こういう面からもしっかりと書くべきではないか。
◇皆さん、褒めてばかりで困ってしまうが、もう少し考証というか、大正時代の女中さんはエプロンをつけて出てこないとか、ちぐはぐなことがあって気になった。
◇確かに、家がきれい過ぎるとか、あのころの道路はあんな立派ではないとか、随分現実離れしていたが、それがドラマかなと、本当に1〜2日、興奮して寝られなかったぐらいの感動をした。
◇本当にいい番組を作っていただいた。あの時お袋はこういう苦労をしたのかなとか、しみじみと思い出される。「ああっ」と非常に感激したりして、感情移入が激しくなり、ドラマの構成がいいとか何かということは、すっ飛んでしまった。
◇音楽も非常によかった。たくさん流し過ぎたとの意見もあるが、最近のドラマでは、結構音楽が多用されている。
◇あれだけの時間をTBSもよく割いたと思う。いい番組をつくると、ちゃんと見る人がこんなにいるということが一番感動的だった。
◇テレビとは、やる気になれば、これだけのことができるメディアだったのだなということを久々に思い出させてくれた功績は大きい。今の日本人がアイデンティティーを見失って先行き不安なときに、自分たちの先輩たちはどういう生き方をしたのだろうかと、潜在的に知りたいという気持ちが、まずあったと思う。そこに説教くさくなく、こなれた形で流してくれた。この時代にこの仕事をなさったことは、非常に時宜を得た名プランであり、名演出であり、大変に感動した。テレビとは、やる気になれば、これだけのことができるメディアだったのだなということを久々に思い出させてくれた功績は大きい。今の日本人がアイデンティティーを見失って先行き不安なときに、自分たちの先輩たちはどういう生き方をしたのだろうかと、潜在的に知りたいという気持ちが、まずあったと思う。そこに説教くさくなく、こなれた形で流してくれた。この時代にこの仕事をなさったことは、非常に時宜を得た名プランであり、名演出であり、大変に感動した。
番組審議会事務局