番組審議会議事録

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2000年5月15日(月)開催 / 第427回番組審議会より
テレビ番組『ガチンコ!』
21時00分〜21時54分

出席者(敬称略)

委員長秋山ちえ子 
委員生田正輝 伊藤宏 猪口孝 兼高かおる 竹内宏 沼田早苗 ねじめ正一 古橋廣之進 山藤章二 

◇学歴社会からドロップアウトした若い者に、いろいろな職業体験をさせ真剣勝負をする「ガチンコ!」は、有意義で面白い。せりふが全部文字になる作りは、我々にはうっとうしいが、若い子には受け入れられているようだ。企画は確かにいい。ただ、「運命のリング」だとか、安っぽいナレーションが多過ぎる。数字が欲しくて、いろいろやってみるのだろうが、実社会に役立つ一つの手がかりを与えるというふうにコンセプトをもっと絞り込んだ方がいい。

◇私は、若い子の言っている言葉がよくわからないから、あのナレーションは、あった方が良かった。テンポがあってよくできている。同じカットが多過ぎるが、引っ張るテクニックもすごい。「最終章」というので、もうこれで終わりかと思ったら、「完結編」があった。今の子は、言葉で優しく言ってもだめ、体で教えないと覚えない。「ガチンコ!」に出た子で、ボクサーになったり、仕事を続けている子はいるのか。

◇<吉田TBSエンタテインメントプロデューサー>元暴走族の子が、建設会社に就職して、今も頑張っている。

◇結果は出るわけで、大変良い。

◇この子たちは、一応、体を使って、痛い目にも遭って、いろいろやっているから評価する。彼らが、1年後何をしているか、フォローすると面白いと思う。

◇若い人たちの性格や考え方が良くわかった。こちらが与えると一生懸命やるが、ともかく飢えているとか、現実感覚がない。もう少し放りぱなしでもいいのかな。有名人にも弱い。元チャンピオンの辰吉丈一郎が出てくると妙に謙虚になってしまった。

◇「ガチンコ!」のテーマとしては、フランスの外人部隊とか10時間も立ち続けるコックさんの修行、平和維持活動、国境のない医師団とかが、面白いのでは。

◇大学のサークルで練習の厳しいところは、ほどんど入ってこない。そういう意味から、今度のボクシングに200人の応募があったのは、よく応募者がいたなあと思う。

◇今の若い子には、あれだけ自分たちの気持ちを入れられる場所が、本当に、ないのだろう。元世界チャンピオンの竹原というすごい選手にあのような軽口をたたいていいのかと心配しながら見ていたが、だんだん人間関係が深まって、不良が普通の子になっていく様子が良かった。カメラを意識しないで本気にやってくれると、もっといいのだが、時々目線をカメラに向けたりすると興ざめしてしまう。カメラがないと、練習しないのか。

◇<吉田TBSエンタテインメントプロデューサー>いつも本当に一生懸命やっている。合宿も頑張っていた。

◇3ヶ月の特訓で、プロになるのは無理だと思う。ボクシングの殴る技術だけ覚えたら、一体どんな不良になるのだろうと心配だ。3カ月でも、厳しいトレーニングの中で、何か考えてほしい。

◇<吉田TBSエンタテインメントプロデューサー> 町で暴れるしか能がなかった彼らだが、今は、精神的にもいい子になっている。ボクシングのテクニックを披露するようなことは、間違ってもないと信じている。

◇ガチンコファイトクラブの鍛え方は、悪く言えばしごきだが、昔の軍隊とか体育会に比べると生温い。軍隊では、「歯を食いしばれ!足を半歩開け!」と予告してから、ガーンとやる。予告があるから怪我もない。軍隊が良かったとはいわないが、今の若者は、すこししごくとすぐ逃げ出す。そうかと思うと、茶髪の若い職人が、ピアスをぶらぶらさせながらも、一生懸命仕事をしている。きちんと働いている。私は、そういう若者の心理がもう良く分からない。


番組審議会事務局