番組審議会議事録

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番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


1999年11月16日(火)開催 / 第420回番組審議会より
テレビ番組『神々の詩』

出席者(敬称略)

委員長秋山ちえ子 
委員生田正輝 伊藤宏 猪口孝 兼高かおる 瀧大作 竹内宏 沼田早苗 ねじめ正一 山藤章二 

◇久しぶりに良い番組を見たという感じだ。BGMが素晴らしいし、詩も結構。ナレーションも静かで良い。自然を撮った番組はたくさんあるが、あれはあくまでも人間の目でみているという感じがしてしまう。褒めすぎかもしれないが、この番組は神の目で見ている。人間の目でなく、自然のまま、神の目で見ているから素晴らしい。神の目でいきなり自然を見せてくれるから、ワニがシマウマやヌーをガバッと襲っても残酷という印象が全くない。

◇私もこういうものが大好きだ。「綺麗に綺麗に」という自然の写真雑誌のような感じでやっているから、心を洗うような感じになって行く。しかし、何となく淡い感じになってきた感じがするので、そこの工夫を何とかすることが必要と思う。

◇(担当プロデューサー)平均で3〜4ヶ月で、長いのは1年。これまでに、番組を75本やっている。今や、地球の秘境といっても、大体見尽くしており、珍しさで勝負しようと思ってもちょっと難しい。番組なりのこだわりと切り口で見せていくようにしている。

◇ロケで4ヶ月も行っているのなら、気候の変化とか、いろいろなものがもっとあるはずだ。川が増水したとか、水が浅くなってくるとか、そういうものが、あまり出ていない。手をかけないで、ただ撮ったという感じがする。

◇この番組は、退屈で良いのではないだろうか。普通はもう少しつくるが、シマウマの川渡りにヌーの川渡りしかせず、けつをまくっている感じだ。動物ものは素材の持っている力があるから、それだけで間違いなく面白い。昨日この番組を見た限り、スタンスやコンセプトとかいうのは、かなり伝わっていると思う。小細工を弄していない。他の番組は、大体、残酷ものにしてみたり、ユーモアものにしてみたりして、笑ってくれ、泣いてくれといった意図が見え見えなのだが、この番組は、「好きなようにとりなさい」と素材をぼーんと投げつける。その開き直りが素晴らしいと思う。これはもう、完全に視聴率とは結びつかないが、虻蜂取らずにならないように、下手な解説、感情移入なしで、素材をぶつけて欲しい。私もこの番組の応援組、コマーシャルの入れ方も素晴らしく、実に邪魔にならないコマーシャルを久々にみせてもらった。

◇ワニは浅いところでなければ襲わないなど、すごくリアリティーがあり、細かいところからダイナミックに撮っていて良い番組だと思った。それから、「朗読は有名人に」と企画書にあるが、カバの赤ちゃんのシーンは、宮沢りえのナレーションでも、何となくスッと素直に聞けた。しかし、「ヌーが集結しました!」とかダイナミックな映像のときなどは、イメージが合わなかった。あれで良いのかな。

◇宮沢りえのナレーションは、何も知らないで喋る良さなのだろうか、人間くさいものがなく、素晴らしかった。もう、100点満点の番組ではないだろうか。

◇ナレーションの言葉をすごく吟味している。一つ一つ、「ああ、いい言葉だな」と思いながら聞いていた。このごろ、言葉がいいと感じられるナレーションは、余りない。最後の詩だけが、何かもうすこしうまくあてはまればいいと感じた。

◇(担当プロデューサー)そこがすごく難しいところだ。詩は高良留美子先生に毎週オリジナルで書いていただいているが、番組の為に一週間に一遍のオリジナルの詩をつくるというのは、相当至難の作業のようで、頭が下がる思いだ。

◇一つのものをつくるのに、どのくらい時間をかけているのか。

◇川ということについて一つテーマを絞って、そこだけで勝負しているというのは、非常に分かりやすいし、何が言いたいのか良く分かった。それから、節度ある弱肉強食というか、貧しい中の気品というか、マサイの人たちの生活などに、何か品を感じた。それは、画面から非常に強く感じられた。また、ヌーを襲うワニが悪役で終わっているが、バランス良くやってくれるともう少し良かった。ワニも生きていくには結構大変、ちょっとかわいそうな感じがした。

◇日曜日の午後8時でなく、もうすこしゆっくり遅い時間に見られると良い。視聴率は?(大体7〜8%ぐらい。)

◇7〜8%といっても、ただ見ているのではない。質の良い人が見ていると思えば大丈夫。


番組審議会事務局