番組審議会議事録

このページはTBSの番組や放送のありかたを考えるページです。
番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


1999年4月19日(月)開催 / 第416回番組審議会より
テレビ番組『ここがヘンだよ日本人』

出席者(敬称略)

委員長秋山ちえ子 
副委員長内田健三 
委員生田正輝 伊藤宏 猪口孝 兼高かおる 瀧大作 沼田早苗 ねじめ正一 服部克久 古橋廣之進 山藤章二 

◇「ここがヘンだよ日本人」は、ぎりぎりのことろで進めている番組だが、役割分担がしっかりしているので割りと安心して見ていられる。テリー伊藤はいつも過激でラジカル。たけしは仲裁役。KONISHIKIは、日本の封建的な相撲社会で随分苦労した人だけに(いるだけで番組が)落ち着くし、独自の存在感があって、面白い。

◇あれは、外国人に対してコンプレックスと差別を混ぜて制作したものが多い。その辺をうまく使っている番組だが、一つ間違えると、先の上岡龍太郎事件のようになると思う。

◇(担当プロデューサー)いろいろと問題のある番組ではあるが、差別的な本として絶版になった「ちびくろ・さんぼ」を取りあげるなどこれまでタブー視されて来たテーマにも積極的に取り組んでいる。

■うるさいだけの番組か

◇非常にウィットに富んだ言葉をバシバシ交わし合ってやるエンターテインメントとしての議論番組だと認識しているので、あまりシリアスな議論になってはいけない。エンターテイメントとしての議論は、今まで日本で、少なくてもテレビでは成立していないジャンルなので、ぜひ成功させて欲しい。

◇アフリカのベナンの男性ゾマホンが、一番の主役だ。あの番組は、過激な瞬間湯沸かし器型のキャラクターがいると盛り上がる。エンターテイメントとしての要素が優先し、ショウアップされて、数字も取れる。番組は、その方向に向いていると思う。

◇あのように早口で自分を主張されると、体の調子が悪いと、とても耐えてはいられない。今はあの様な番組が受け入れられる世の中、社会情勢がそうなんだなと思って見ていた。世の中全体がうるさく、番組は、益々それを増長する感じがするが、番組としては、私がもっと元気で若ければ、非常におもしろいと思うだろう。

◇今、大声を出したりするのは、私達の生活のなかには少なくなっている。大声を出すのは行儀が良くないという感じだが、それを違う世界でやってくれており、見ている分にはスーッとする感じがした。

◇(番組担当プロデューサー)番組を担当して一番感銘を受けたのは、先ほど来話題になっているあのうるさいベナンの男性ゾマホンが故郷のかつて奴隷海岸と呼ばれていたところで撮影中「ここは屈辱の場所」とさめざめと泣いたこと。感動的で、良い番組が出来た。このことがきっかけとなり、まもなく日本にベナン共和国の領事館が開かれることになっている。

◇あれはやはりバラエティー。司会のたけしは上手と言うか、ずるいと言うか、正しいことも言うが、茶化して終わるのがうまい。たけしのキャラクターでなければ、多分うまく行かないだろう。

◇(番組担当プロデューサー)たけしは、非常に説得力のある人間で、多くの外国人から尊敬されている。彼がまとめなければ、雰囲気的に次の議論に行けない。

■更に磨かれた番組に

◇番組の中で使われるVTRが長すぎる。プロデューサー、ディレクターが判断し過ぎるのは、問題。編集で色々なところを切って放送しているのではと疑われると、議論は全く意味がなくなってしまう。

◇人種問題は非常に大きな問題。注意してやらないと、一度問題が起きると大変なことになる。見ていて、何となく恐い感じがした。それぞれ信念というのがあって、幾ら話しあっても平s行線だろうから、番組で結論を出したり、どちらが良いか決めないで、言い放しでおさめていくのが良いだろう。

◇こう言う討論に結論はない。文化が違ったり、人種が違った間で議論をしても、相互理解は永久に不可能。激論を戦わせて、「違っているな」と分かれば結構。妙に結論など出さない方がよい。


番組審議会事務局