番組審議会議事録

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番組審議会の審議内容を中心に紹介し、皆様からの意見も募集しています。


1999年3月15日(月)開催 / 第415回番組審議会より
テレビ番組『世界遺産』

出席者(敬称略)

委員長秋山ちえ子 
副委員長内田健三 
委員生田正輝 伊藤宏 猪口孝 瀧大作 沼田早苗 ねじめ正一 古橋廣之進 山藤章二 

■映像と音楽のマッチ、ナレーションのミスマッチ

◇初めて聞いていて、ナレーションが緒形(直人)さんと知らなかったので、非常に子供っぽい感じがした。いくつぐらいの方かなと思いながら聞いていたんだが緒形さんだったと思って聞いていると、声と内容みたいなものが、見ているうちにだんだん合ってきている。初めはなんとなく合っていないのかなと思った。風景と歴史、その辺のバランスは、灯台守りの家族の話が出て、あの辺になると見ていてほっとする。もうちょっと人間の匂いみたいなものが入ってくるといいかなという感じがした。世界遺産は一年にどれくらいの数増えているのか。

◇(担当プロデューサー)昨年は30ヶ所増えた。現在582ヶ所あるが、実は世界遺産条約ができた1972年から、世界遺産はどちらかと言うと、ヨーロッパ中心に決められてきた。世界遺産委員会の中で、もっとアジアやアフリカの世界遺産を増やしたらどうだろうという意見があることから、多分毎年20〜30ヶ所ぐらいずつ増えていくんじゃないかと思う。

◇映像と音楽がすごくよくマッチして、大変いいと思う。緒形さんの若さみたいなものが、逆にちょっとバランスが悪いかなという気がする。私たちは沢山の情報(番組)を見ているので初めての場所はとても興味があるし、新鮮味がある。それだけ大変なんだと思うけれど、それがいいなと思った。

◇土着密教とキリスト教との関係をあれだけ映しているなら、ちょっと(説明を)言ってもらいたいとか、あるいは、なぜ、ケルト族の宗教がイギリス人に弾圧されたのか。たぶん宗教的な理由でカソリックはやられちゃったんだと思うが、その辺の歴史をちょっと言ってもらわないと、あれを見ただけでは、すごさと、誰もいなくなっちゃったというのは、よく分からない。風景としても、ちょっと立体的な時間の説明をして頂くと非常にいいかな。

◇時々見ているので、いい番組だと思っているが、面白いものを幾つか見たことがある。実際に自分が行って見たところは、説明も無くてもよく分かる。先週のようなまだ行っていないところは、もう少し説明して頂いたらいいかなという気がする。受けとめた方が、実際に見たところと、そうでないところは、非常に違うなという印象を持ったワッと見た後で、あれはどうだったかなという感じを皆(視聴者)が持たれることがあるんじゃないか。

◇NHKの「街道を行く」と比較すると「世界遺産」の方は、素材がドーンと出されて、いい素材なんだろうが、ほとんど加工・調理をしていない。その差があると思う。だから「世界遺産」の方は、多分教材にとてもいいと思う。これを教材にして、先生がいろいろ解釈するなり、見方を教えるなり、素材にしたらいいと思う。お料理として茶の間に提供するには、ちょっとサービス不足かなという感じだ。

■映像が美しすぎる為に起こる弊害?

◇初めは、ずるくて、あり物の映像なんか使っているんじゃないかとか、非常に疑り深く見ていたんだが、そうじゃないことが分かって、よくやっていると思う。日曜日の夜11時半というのは、あれでいいと思う。あれはオンエアを見る番組でなくて、むしろ録画してまとめて見たりする番組だと思う。かえって前の方に持ってくると、何か手を打たなきゃいけないとか、いろんな弊害が逆に起きてきやしないかと思う。もっと遅くても構わないんじゃないか。

◇絵の邪魔になってはいけないのかも知れないが、スケリグ・マイケルの場所が南西の海上13キロだという説明が黒い点であるが、もう少し説明的というか、位置図の問題とか、あるいは歴史の13世紀から16世紀にわたるティピカルな出来事が背景にあるのだというようなことが、もうちょっと…。もう少し説明的なものがある方が、ワッと見た後で、あれはどうだったかなという感じを皆(視聴者)が持たれることがあるんじゃないか。

◇地域とか国とかのバランスは何か考えているのか。

◇(番組担当プロデューサー)基本的には地域の偏りがないことと、自然遺産と文化遺産のバランスが取れるように。又日本人によって知られている場所と、この間のスケリグ・マイケルのように、知られていない場所とのバランスも必要で、その辺を勘案しながら進めている。


番組審議会事務局